SSブログ

212.過密飼育の限界 [魚の病気]

1ヶ月ほど前からスパイクテール水槽が不調で少し凹み気味です。(ToT) 
去年のGWにブリードしてから1年半になるけど、今までほとんど落とさずにここまで来たのに・・・・。 まぁ~元気な個体は元気なんですけどね。こんな感じで↓
330205834.jpg
小型アナバスを数種飼ってみて(ブリードしてみて)感じるのは、ブリード後1年を過ぎた辺りからポツポチ落ちだすことがよくある。 その死因のほとんど(90%以上)はエロモナス。 穴あき、松かさ、ポップアイ、腹水症の4つパターンで1匹2匹と日に日に数が減り、100、200いた魚が気がつくと数十匹程度に。下手したら全滅ってこともあり得る。
syourei.jpg
一般的にエロモナス症の原因は水質の悪化や古い餌を与えることが引き金になり発症すると魚病学的には説明されているが、個人的にはそれは全てに該当しないんじゃないかと思う。 濾過に関しても、水作りに関しても自分なりに手を抜いてるつもりもないし、餌もディスカスたち同様にUV赤虫やブラインなど新鮮で文句のつけ様がないものを与えている。 2ヶ月、3ヶ月、1年前と比べても管理も餌も何一つとして変わってはいないのに・・・。

・・・と原因不明の大量死のように書いてしまったけど、今までの苦い経験から思い当たる点と解決法は何となく分かったりしている。(^^ゞ 自分なりに考えた答えは「1ヶ月、3ヶ月、1年前と比べても何一つとして管理も餌も変わってはいないのに・・・。」ってのがよくない! 普通にペア飼い、少数飼いしているのなら調子の良いころと同じ方法で管理するのがベストだけど、ウチのような大量ストックとなると、その成長過程によって飼育法を変えないと上手くはいかないのだ! これはアナバス限定ってわけではなく、ディスカスでもその他の魚でも言えること!!

魚ってヤツは子どもの頃は同腹やその付近で生まれた稚魚たちが群れとなって集団で生活し、外敵から襲われても生き残る確率が高い生き方をしている。 しかし、ある時期を境に大きな群れは散らばり、単独、少数の群れとなりそれぞれのテリトリーを作り仔を生み(場合によっては育て)子孫を残していく。 水槽内でも同じで小さい間は単独で飼うと餌食いが悪かったり怯えたりして成長が悪い。 これを回避するために「ある程度まとまった数」を入れて、競争心を煽り大目の給餌を行い早く大きくするのが無難な方法となる。 こんな飼育方法だから、濾過にも気を配り流量を上げたり濾過槽を大きくとったり頻繁に換水することになる。 しかしこれがある日突然マイナス要因となる。 自然界では必要に応じて自ら散らばることが出来るが、水槽内では人為的に分けない限り嫌でもみんなと暮らすしかない。体が触れ合い、テリトリーを取り合い、、小競り合い、スレなどが頻繁におきてストレスにより免疫が低下して二次感染としてエロモナスを患い大量死っていうのが自分の中で考える図式。

こんな考えもあって、今回のポロポロ死んでいく原因は過密性や環境からのストレスと判断し、1本飼いに限界を感じたので、20匹程度ずつに分けて4つの水槽に分け様子を見ることにしました。
ちょっと分けるタイミングが遅れたようにも感じますが、分けてから今のところ新規にエロモナスを発症する確率が減ったし、ペアリング、繁殖行動も見られるようになったので、やっぱりこの辺のストレスだったのかな~っと確信?しました。
魚って調子がいいからっていつまでも同じように飼うのは良くないんですかね? ディスカスも同じ面子、同じレイアウトだと拒食になったり小競り合いが酷くなりますもんね。
追伸:前回の記事でお騒がせしたジャプラのHLLE(穴あき)ですが、今回は1週間で完治しました。今回は内服用フラジールを3錠/1週間(水槽全体で経口投与)し、天然塩100g/100L濃度で1週間持続しました。若干年老いてきたジャプラですが、それでも自然治癒力はまだまだ衰えていませんでした。やっぱりこの魚は無敵です。(^^ゞ

コメント(10) 
共通テーマ:ペット

203.HLLE沈静化 [魚の病気]

前々回の記事で取り上げたアルトナナイの右目上5mmのHLLEが回復しました。(^^♪ この魚はまだ若いし体力もあるのでキズの治りも早かったみたいです。 一度HLLEを発症した個体は後々また何かストレスが重なると再発する可能性は高くなるけど、とりあえず今回は完治ってことで「非常事態警報」を解除しました。(^^ゞ

08097194032.jpg
Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM
焦点距離:60mm 露出モード:マニュアル(M) 測光モード:平均 絞り:F2.8
1/15sec 露出補正±0 WB:オート 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし PG-Ⅱ マニュアルフォーカス 三脚なし

ウチには以前「穴あき常習犯」のジャンボちゃんという仔がいて治療にかなり梃子摺った記憶があったので今回は患部の拡大と二次感染にはかなり注意深く監視していました。 一時的に穴が深くなったように感じた時期もあったのですが2週間で穴が塞がりました。

今回の治療では先にblogで書いたようにフラジールの粉末を経口投与させた以外に薬剤は使いませんでした。 フラジールは内服用250mgを2錠、乳鉢で粉にして1週間朝夕の2回ハンバーグにふりかけて与えました。計算上では(250mg×2)/(7日×2回)・・・約35mg/9匹なので1回量1匹3~4mgを1回の給餌で食べていた計算です。

おぉ!\(◎o◎)/!
何も考えずにテキトーに与えていたけど、記事を書きながら計算してみると、魚病学的なフラジールの処方量とドンピシャじゃないかー! 素晴らしい! 野生の勘? ・・・って言ってもみんなが均等に食べているわけではないから計算が合ったところで意味ないけど。(^^ゞ

また、フラジールの他に行なった治療として、とりあえず浸透圧を調整して患部に負担がかからない&回復が早くなるようにと「塩(100L/100g)」を入れておきました。そして治療期間中は体表を刺激しないようにphも6.5前後を常にキープ。 こんな感じで10日後には殆ど穴は塞がり、2週間で傷跡も完全に消えました。

今回の治療終了後アルトナナイが元通りに戻った他に水槽内のディスカスたち全員が以前より食欲が上がる・・・という現象がおきました。 この状態から見て、他の仔も若干スピロヌクレウスの影響があったのかなぁ~!? 確かに治療中には全ての仔ってわけではないですが、アルトナナイも含め数匹がいつもとは少し違う粘度性のある糞をしていました。スピロヌクレウスが落ち始めると数日間はこのような感じで少し糞に粘液が混じったような感じになることがあるので、鞭毛虫症の疑いがある仔たちも調子があがるかなぁ~なんて軽く狙っていましたが、よいタイミングで水槽内のHLLE&拒食予防になった気がします。
コメント(9) 
共通テーマ:ペット

201.HLLE [魚の病気]

アルトナナイの目の上に幅5mmくらいの穴が!これは完全に頭部穴あき病ですね。(^^ゞ
この仔の太り具合から見て「ある程度の年齢になったら来るかなぁ~」なんて思ってはいたけど、案の定、ポッカリと穴が開いてしまいました。 状況から見て今のところ、それほど重症ではなさそうだけど、頭部穴あき病は油断していると直ぐに穴が大きくなり再起不能の状態になることもあるので、とりあえず治療開始です。 ・・・ってことで、今回は頭部穴あきの治療方法と、ここ数年で学術的にシクリッドの頭部穴あきの原因と解釈が若干変わってきているようなのでその新学説について少し触れてみたいと思います。
08082243.jpg
まず、現時点でので最新学説についてですが、最近はシクリッド特有の頭部穴あき病のことを「HLLE(Head and Lateral Line Erosion)頭部及び側線びらん=鞭毛虫性頭部穴あき病」と呼ばれることが多くなっています。既に海水魚の世界ではこのHLLEという言葉が使われているようですが、ディスカス界ではまだあまり馴染みがないように思います。

さて、このHLLEの原因についてですが、ディスカス関係の雑誌や専門誌、ショップなどの情報では「Hexamita intestinalis(ヘキサミタ・インスチナリス)」が腸管で増殖して発症すると言われてきました(当blogでもヘキサミタが原因と記載していました。この場を借りて以前の記事を訂正させて頂きます。)しかし2000年以降に発表されたHLLEに関する論文では原因はヘキサミタと非常に似た形質をしているSpironucleus(スピロヌクレウス)属の鞭毛虫。特に「Spironucleus vortens(スピロヌクレウス・ボーテンス)」によって引き起こされると考えるのが様々なデータより最も信憑性が高いとされています。

学説(原因となる鞭毛虫の種類が違ったところで)症状や処置についてもあまり変わりはないのですが、とりあえずいつまでも「ヘキサミタが原因だよ!」なんて言っているとディスカス界の発展がないように思うので頭部穴あきは「スピロヌクレウス・ボーテンスが原因なんだ!」っと言うようにした方がいいかも知れませんね。 古い学説に従っていると「海水魚」の人たちに置いていかれます。(^_-)

そしてこのスピロヌクレウスが腸管で異常に増殖する原因としては今までの説と同様で栄養失調、栄養バランスが悪い、水質(硝酸塩によるストレス)、他各種ストレス、カルシウム、リン、ビタミンD不足などがあげられています。またこの他に個人的に付け加えるとすれば「太りすぎ」「過食個体」「ハンバーグを好む個体」などと言った人間で言うところのメタボや「老個体」「巨大メス個体」にも発症する確率が上がるのではないかと考えています。

結局HLLEの予防するにはある程度広目の環境で美しい体型を保ち、自然の餌(赤虫や糸ミミズなどを多めに与え)良好な水質を維持する。つまりストレスフリーが一番なんでしょうね!? ・・・って、HLLEを発症させておきながら偉そうにウンチクたれてても説得力ゼロですね。(^^ゞ でも、混泳してたら食うヤツは我先に食っちゃうし!!・・・言い訳ですけど。(^^ゞ
08082254.jpg
さてさて話を戻して肝心の発症後の処置ですが、基本的に原因寄生虫の名前が変わったところで同じ鞭毛虫なので特効薬は「メトロニダゾール(フラジール)」になります。この薬は鞭毛虫のDNAの二本鎖を切断し、増殖を抑制するので効果が発揮されるまでは経口投与で最低3日、できれば1週間程度食べさせることで「新たな発症」はなくなると思います。 既に開いた穴に関しては体力のある個体であれば1週間~1ヶ月ほどで自然治癒しますが、病巣が大きい場合や穴が深い場合はエルバージュで患部が落ち着くまで(1週間程度)薬浴すればいいと思います。

今回は現時点のアルトナナイ状態から見て薬浴はとりあえず必要ないように思ったので内服用のフラジールを乳鉢で粉にして写真のように解凍したハンバーグにふりかけて1日2回ほど与えて様子を見ていますが今後患部の拡大や二次感染の可能性が出てきた時には迷わずエルバの投入も考えています。 ちなみに内服用フラジールを使っているのにはこれといって大した意味はありません! 嫁にフラジールを買ってとお願いしたら発泡錠じゃなく内服用を1ケース注文しちゃったので薬浴以外の用途で使う場合はこっちを使っているだけです。「なぜ?内服なの?」って質問がきそうだったのでとりあえず前もって書いておきました。(^_-)

それからこれも以前あった質問なんですが「市販の虫下しハンバーグじゃダメなの?」っていう質問には、ショップで売られている虫下しハンバーグは何の薬がどれだけ入っているか分からないからウチでは使わないことにしています。お店で成分などを教えてくれるのであれば用途に合わせて使えばいいと思いますが、ほとんどの場合、企業秘密だと思いますのでそういった理由からウチでは用途に応じて1回に与える量のハンバーグだけを解凍してそれぞれの薬をふりかける方法で経口投与しています。虫下し用にまとめて混ぜ込んで作っておくと冷凍焼けや成分の変性、酸化などが起こりますし、鞭毛虫ならフラジール、鰓吸虫、条虫ならプラジカンテルなどという風にケースによって対応できないし、何より薬剤も無駄になりませんしね。 薬剤の量に関しては適当にふりかけています。色々計算して計って混ぜたところで水に入った時点で散らばるので1匹がどれだけ食べるか検討もつかない。なのであまり神経質に考えていません。ちなみに魚病学的に有効とされる分量は魚体重1kgにフラジール30mgくらいだったと記憶しています。またディスカスの成魚は150gくらいなので几帳面な方は計算して調合してみてください。(^_-)
コメント(8) 
共通テーマ:ペット

190.白糞!原虫症? [魚の病気]

新水槽が稼働して5日目にちょっとしたトラブルが発生しました。 誰か分からないけど白糞(当初は透明な糞)を排泄している形跡が・・・。水質や移動のストレスで餌食いが落ちて2~3日透明な糞をするのはそれほど珍しいことではないのだけど、次の日になって透明な糞が黄色っぽい糞に変わっていました。これはちょっとヤバいです。
誰が白糞をしているのか・・・いつもより真剣に、そして頻繁に水槽を覗いてチェックしたところ、見つけました!今季唯一新導入したテフェの「オークション」でした。
08060957.jpg
Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM
焦点距離:60mm 露出モード:マニュアル(M) 絞り:F2.8
1/30sec 露出補正±0 WB:オート 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし PG-Ⅱ
昼間に撮影したので太陽光の写り込みがちょっと見苦しいけど・・・。

透明な糞なら食べてないことで排泄物が少ないために起る現象なので、ストレスを取り除けば特に大きな処置(治療)をしなくても数日で勝手に治ります。ただ、今回のような黄色っぽい糞が排泄された場合、かなり高い確率で腸管内の原虫が暴れている。・・・っと言っても原虫(寄生虫)が悪いわけではなく、ストレスをかけた管理者の責任なんですけどね~。
そもそも寄生虫と言うものは、宿主を弱らせたり殺したりしたら寄生虫自体も生きていけない。なので宿主が健康でストレスのない状態であればほとんど無症状です。「寄生虫は悪くないもん!」  いつも嫁が言う言葉。寄生虫をこよなく愛す彼女らしい言葉です。(^^ゞ

まぁ~そんなことはどうでもいいとして、黄色っぽい透明な糞をしている魚が出たら何も処置しないわけには行きません。黄色っぽい透明な糞=腸管粘膜が炎症を起こしている。または起しかけている証拠! 試しにピンセットでオークションの口元に赤虫を持っていきましたがやっぱり食べない!これは早く手を打たないと拒食に陥り痩せてしまう。この手の症状では自然治癒は少し難しいです。
08060497.jpg
ってことで、とりあえず腸管に寄生した原虫を落とすor勢力を弱める方法としてフラジール(メトロニダゾール)1錠(250mg)/50L薬浴+水温33℃+塩100g/100Lで治療を始めました。もちろん治療中は終日照明OFFで! 餌を食べるようであれば粉末にしたフラジールを餌に混ぜて経口投与したかったのですが、あまり食べる気配がないので仕方なく効果の薄い薬浴です。ただ、薬浴でも水に溶けた薬剤が鰓から体内に浸透するので早期治療であれば治療効果があるんじゃない?っと嫁が言っていたので今回は言うことを聞くことに。

その甲斐あって?・・・治療24時間後には餌に興味を持ちだし、3日目には餌くれダンス再開、4日目には普通の糞と透明の糞が混じったものになり餌も普通に食べ始めました。とりあえず何とか回復してくれたかな!?

でも、なんでこの仔だけに原虫の症状が出たのか・・・。 やっぱり導入後間もないし、ウチの飼育環境に慣れていない上に今回の水槽置換えと言う大きなイベントがあって・・・。なお且つ今年になって日本にやってきた仔なので定期的なトリートメントも出来てませんでしたからね~。
もともとメンタルが強そうな仔なので、ちょっとノーマークでした。反省・・・。 でもまぁ~大事に至らなくて良かった良かった。


= おまけ =  今夜の混泳風景
08060803.jpg
Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM
焦点距離:60mm 露出モード:マニュアル(M) 絞り:F3.5
1/13sec 露出補正±0 WB:オート 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし PG-Ⅱ



コメント(13) 
共通テーマ:ペット

179.エラ病の原因と対策 [魚の病気]

前回のトリートメントの記事で個別の質問が結構あったので、エラのトリートメント&エラ病の原因と対策について少しまとめてみました。ディスカスを飼育しているとエラの問題って誰もが経験する最も多いトラブルですからね~。 
0805148325.jpg
Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM (薬浴中)
焦点距離:60mm 露出モード:絞り優先(Av) 絞り:F3.5
1/20sec 露出補正-2 WB:曇り 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし 蛍光灯1灯(NISSO PGⅡ )

一言でエラ病と言ってもみなさんご存知のように色々な原因がありますので一概に「何が原因」とは言いづらいのですが、大まかに言えば2つのパターンに分けれると私は考えています。
1つ目のパターンは「浮遊バクテリアによるエラの不調」、「強弱によるストレスからくるエラの不調」、「水質悪化からくるエラの不調」、「水中のゴミ粒子がエラに絡みついた物理的なエラの不調」などの薬剤投与ではなく環境改善で治るタイプ。これを勝手に「ストレス性の不調パターン」と呼んでいます。 そしてもう1つのパターンはエラ吸虫が寄生することによる「寄生虫性エラ病」、カラムナリスや水棲細菌が感染しておこる「細菌性エラ病」。これらは薬剤を使用しないと改善しにくい本当の意味での疾病なので「疾病パターン」と呼んでいます。

ストレス性の不調パターンでは、主に環境改善を行うわけですが、よくあるパターンとして、phのup-downが激しい水槽で発生することが多いような気がします。phのup-downが激しい水槽では水質変動により常にphショックを受け、メンタル的に弱いものは徐々に元気をなくします。それに加え定員オーバーで定着する場所がなくなった浮遊バクテリアがディスカスの体表やエラに着き、エラに違和感を覚えたディスカスは暴れたり、黒ずんだりしてはっきりとした形で強者と弱者に分かれます。濾過槽には適度のバクテリアを維持し、飼育エリアではバクテリアの少ない水。つまりph変動の少ない水換えと濾材のメンテが「ストレス性の不調パターン」の1番の解決法。これには殺菌灯を設備するのも1つの手段だと思います。また糞や残餌、ガラス製リングの粉などが水槽内に舞い散らないように清潔な環境を作るのもポイントになります。また個体間の強弱関係でストレスを受けている場合は収容数を変えたり、流木や産卵筒を入れて隠れる場所を作ったり、反対に完全にフラットにしたり、水流の向きや強さを変えたりと必要に応じて水槽内に変化をつけることで強い個体のテリトリーを定位置にしないようにすれば比較的混泳が上手くいきます。

「疾病パターン」の場合はなるべく早い段階で治療が必要です。「疾病パターン」のエラ病を見極めるポイントは、2週間以上エラの開閉が早く大きく呼吸が苦しそう。開閉しているエラを後ろから見た時に腫れていたり凸凹になっている。エラから粘膜のようなものがピロピロ出ている。餌は食べるけど痩せている。艶がない・・・などが確認できたら薬浴を実行します。この「疾病パターン」の治療では基本的に発病個体が収容されている水槽で処置を行なうのが無難です。理由は隔離治療で完治しても再度混泳水槽に戻したらまたすぐに発症してしまうことが多いから。治療法についてはターゲットを寄生虫にするか細菌にするかで薬剤が変わるのですが、ほとんどの場合はカラムナリス単体での感染かエラ吸虫に寄生されて出来たキズに細菌が二次感染したケースなのでお勧めの処方はエルバージュとプラジカンテルの二種混合です。二種混合での安全性を証明することは出来ませんが我が家では何度も二種混合薬浴をした結果、特に目立った副作用などはありませんでしたし、寄生虫と細菌を同時に攻撃することで「的外れ」がなく完治するのが断然早いように思いました。

一昔前ではエラに不調がある個体が水槽で発生した場合、隔離してホルマリンを投薬することを勧めるショップや書籍を見かけたりしますが、ホルマリンを度々使うとエラの細胞が薬焼けして線維症、つまりエラが硬く萎縮して本来の機能が戻らない状態になることがあるのと環境への配慮で最近の魚病学ではホルマリンは使ってはいけない方向になっているようです。


最後にエラ病に侵された時のエラの状態を図にしてみました。era.jpg
この図を頂ければ分かると思いますが、エラ病は穴あき病や他の病気と違い、エラが傷んだから弱る、死ぬ・・・と言うわけではなく、最終的な死因のほとんどは酸欠。つまり窒息死です。正常なエラでは細胞が規則正しく並び、酸素に触れる表面積も大きいので効率よくガス交換ができます。反対にエラ病に侵されたエラは細胞が腫れ酸素に触れる表面積も少なくなりガス交換が行われない。末期であればほとんど呼吸不能状態に陥ります。
窒息死・・・想像頂けると思いますが、生物にとっては大変苦しい死に方。自分が飼ってるディスカスにこんな苦しい思いはさせたくないですよね~
追伸 【お詫びと訂正】
先週、文末で紹介したロタラの黄色い花・・・。
inc1.jpg
これは蕾の段階なのですが、見ての通り、赤いロタラの葉っぱから出ているように見えます。しかし!! これはロタラの花ではありませんでした。 先日、花が終わったのでトリミングのためロタラを抜いてみたのですが、ロタラの葉の下を上手く掻い潜って蕾をつけているこいつを発見↓
inc.jpg
そうなんです! インクリナータの花だったのです。 早とちりで申し訳ありませんでした。(^^ゞ


コメント(25) 
共通テーマ:ペット

178.トリートメント [魚の病気]

昼間に車をのる時はクーラーが必要になってきました。暖かくなりましたよね~最近。
ってなことで、そろそろ毎年恒例となってる擬似雨季飼育に切り替えようと思っています。 擬似雨季飼育の利点と考察は以前書いた「071.Wet&Dry」をご覧いただくとして、今回はこの擬似雨季の前に行うトリートメントについての考えを書いてみます。
0805078319.jpg
Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM (薬浴中)
焦点距離:60mm 露出モード:絞り優先(Av) 絞り:F3.5
1/20sec 露出補正-2 WB:曇り 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし 蛍光灯1灯(NISSO PGⅡ )

トリートメント・・・つまりは薬浴なのですが、ウチではこの時期にエルバージュとハダクリーン(プラジカンテル)を使った二種混合薬浴を行います。薬浴する理由は極端に何かの病気が発生しているとかってわけではありません。2匹ほどエラの開閉が若干早く大きい仔がいるからです。しかしこれは病気というレベルではなく、理論的に考えて当たり前の症状ではないかと思ってます。

個体によって感受性が異なりますが、冬の間、擬似乾季飼育で換水量と頻度を抑えてバクテリアを最大限活用した飼育をしたので、水槽内にはバクテリアが湧き過ぎています。これが定着できず浮遊バクテリアとしてエラにくっ付いたり、またバクテリアが呼吸で過剰に酸素を消費したりと悪さをする結果、感受性の強い個体や老魚ではこのような症状が起きてしまうのです。また地中が暖かくなると、冬の間は大人しくしていた細菌も活性が上がります。特にこの時期~梅雨までは水槽内でカラムナリスが最も活性が高まる時期なので少しでも体調を崩した個体がいればあっと言う間にあちらこちらに感染してしまう可能性も高い。なので先手必勝です!

飼育者の中には「別に病気じゃないのなら薬を使うのは良くない」とか「せっかく安定している水槽を薬で崩すのは・・・」とためらう方も多いと思います。 でもこの辺は考え方次第だと私は思います。例えば転んで擦り傷を作ってしまった場合、何も治療しなくても治るとは思います。でも、もし患部が化膿したら? 自然治癒と適切な治療との治癒期間を比べたら? 最初にちょっと消毒でもして軟膏を塗っておけば大事には至らなかったのに・・・って経験は誰にでもあると思います。 それと同じではないでしょうか!?

また水槽のバランスが崩れるからと言う理由で何もしないのは・・・考えものですよね? 魚は自分では治療できない。ならば魚を生かすも殺すも管理者なので、こんな理由で遠くアマゾンからやってきた魚を殺すのは・・・。このように考えれば答えは1つですよね?

もちろん何でもかんでも薬を使えって言ってるわけではありません。薬を使うとそれなりのデメリットもあるし、無謀な使い方をすれば治るものも治らない。それら色々を考慮して出た答えが擬似雨季飼育に切り替える寸前でのトリートメントってことになりました。擬似雨季にするのなら濾在も交換しなければいけないし、濾過槽をかなり綺麗に洗浄する必要もある。どうせリセットするのなら、このタイミングで薬を使っても問題ないでしょ!?って感じで毎年行っているんです。 まぁ~このトリートメントが結果としてどのように効果を発揮しているかは分かりませんが、何もしなかった時と比べてエラ病になる確率はかなり減りましたし、その他カラムナリス症も発生してません。またこの辺のストレスがないためか拒食になった魚もトリートメントを取り入れてからは1匹もいません。

リセット後の水作りや管理は若干手間がかかりますが、それでも大きな病気をしないで夏を無事に過ごしてくれることを考えると今の我が家では毎年必要な恒例行事かなぁ~なんて思ったりもします。1年を通じてこの時期って一番発病&死亡率が高いですからね。(^_-)


0805068561.jpg
P.S. 水草水槽で一部水上葉化したグリーンロタラ(レッドタイプ)に花がつきました。(^^)v 本来は水中で葉っぱを楽しむ水草だけど、花が咲くと違う意味で嬉しいものですね。

壁紙コレクションも更新しました!今回のUp壁紙はガーパイクです。
コメント(15) 
共通テーマ:ペット

171.治った??? [魚の病気]

先週、顔面黒化現象でお騒がせしたアルトナナイ・・・。一昨日くらいから徐々に顔色がよくなり、今日はこのとおり!(^_-)



11398517.jpg
Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM
焦点距離:60mm 露出モード:絞り優先(Av) 絞り:F3.2
1/20sec 露出補正-1 WB:オート 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし 蛍光灯1灯(NISSO PGⅡ )

大変お騒がせしましたが、こんな感じで何とか元気を取り戻しつつあります。 先週のblog投稿後、数日間は黒くなった左顔面が痛々しくて元気もなく、またエラにも何らかのダメージがあったようで開閉が大きくかなり早かったのですが、今週の前半から顔色が徐々に薄くなり、まだエラの動きは早いものの、餌も食べだしましたし、他の魚を追い掛け回す元気も戻ってきたようです。

今回の顔面黒化現象の詳細についてはいまだに分かりませんが、頭部を強く打ち付けた際に一時的に血管か神経が切れてしまったのではないかと見ています。もしかしたら打撲によるストレス?ってことも考えられますが、結局分からずじまいです。 もしあのまま死んでしまったのなら嫁に解剖してもらおうと思ってましたが・・・。

今回の顔面黒化現象では治療法がないので特に何もおこなっていませんが、腹部の張れと拒食のような症状がでてましたので、とりあえず、そちらの方のストレスだけでも取り除こうと思い、我が家でディスカスが拒食に陥った時の治療だけを行いました。 水温を29℃まで上げ代謝を高め、24時間照明OFF(3日間)、HB-101を毎日30滴ほど投入(10Lに対して1滴)そして納豆菌も入れました(1パックをマグカップに入れ蒸留水100ccを注いでかき混ぜてザルで豆を取り除いてできた納豆菌水100cc投入)。 それと混泳のストレスやメンタルを高く保つためにアルトナナイより弱い小さい仔たちの水槽に移動。

こんな感じで2軍水槽で療養し、時を見て1軍水槽へ移動する予定ですが、エラの機能が正常に戻るまでまだ少しかかりそうだし、餌を食べれるようになったとは言ってもお腹の調子もまだ本調子ではないようなので、もともとの2軍のメンバーには大きくて偉そうなアルトナナイの存在はとても迷惑だと思うけど、もう暫く我慢してもらおうと思っています。大変お騒がせ&ご心配おかけしましたが、何とか良い方向へ向かっていきそうです。 もちろんまだ油断できないですけどね。
コメント(12) 
共通テーマ:ペット

169.顔面黒化現象 [魚の病気]

最近は水曜日更新が定着していたC’ZONEですが、今日は緊急更新です! 何が緊急かって・・・とりあえず、これを見てください。↓

08031402.jpg


御覧の通り、アルトナナイがすごい事になっちゃってます。(@_@;) 昨晩「ガゴ!ガーン!」っとディスカスが水槽にぶつかった音がしました。 まぁ~ディスカスを飼っていれば珍しくない音なんですが、何か嫌な胸騒ぎがして水槽を見てみたら・・・。こんな感じで左の顔面だけが真っ黒になっていました。 以前、For Ever Greenのdai8682さんのところでも同じ現象がおきており、当時はこのような経験もなかったので、たぶん頭をぶつけたか血行障害だろうね?なんて話した記憶があるのですが、我が家でも同じようなことが起きてしまいました。

・・・っていうか、顔面黒化現象、実は今年2回目なんです。 先日死んでしまったノーマルのランランも死ぬ3日前に同じように顔面の一部分だけが黒くなって、その後、摂食障害になったかと思ったら徐々に弱るということもなく、あっけなく死んでしまいました。
今回も前回同様、現時点では餌を全く食べようとしない・・・。dai8682さんのディスカスの場合、顔面が黒くなった以外は特に問題がなく餌も食べていたと言うことだったので、現在は黒化もとれ元気になったようですが、今の状態から見て、アルトナナイは危険じゃないかと思っています。

とりあえず、アルトナナイの報告はここまでとして、今回の顔面黒化現象の詳細について。
line.gif
1.今まではっきりとした原因が分かりませんでしたが、今回の件で顔面の一部または顔半分が黒化する原因は、ディスカスが暴れた時に障害物や水槽面に強く頭部を激突したことでおきる脳・神経障害または血行障害、部分的な細胞の壊死ではないかと考えています。

2.我が家では同じ現象(事故)が2回発生しましたが、2回とも顔面黒化がおきると食欲が低下して拒食のような状態になります。

3.激突によるストレスからなのか、内臓や脳に問題がおこったのか・・・顔面黒化がおこると消化器官にもダメージがあるようで腹部が腫れ、糞づまりのような状態になり糞の排泄が止まります。

4.顔面黒化以外、特に不調を示すことはなく普通に泳いでいるのですが、数日後、突然前触れもなく死んでしまう場合もあります。(ランランの場合)

5.顔面が黒化しても腹部に腫れがなく食欲もあるようであれば数か月後に回復します。(dai8682さんの場合)

6.これ!と言う裏付けはないけど、我が家で顔面黒化をおこした2匹は他の個体に比べて肥満体型&ハンバーグを好んで食べていた個体であったことから、もしかすると、肥満個体は通常体型の個体より発症する確率が高いかも!? 衝撃による損傷で血管や神経の破損が大きい?
line.gif
以上が顔面黒化現象で今のところ分かっている情報です。
かわいそうだけど・・・。俺の予想では・・・。たぶんダメだね。アルトナナイ。(ToT) 顔面黒化の原因が分かったことは有益な情報にはなったけど・・・。注意してても水槽面に頭をぶつけないように飼うことって無理だしね。 とりあえずは余計なストレスを与えないように照明を落として、小さい個体を収容している水槽に移してのんびり泳いではいるけど・・・。これ以上は何もしてあげられないよ。ごめんよ。アルトナナイ。(T_T)


08031401.jpg



コメント(11) 
共通テーマ:ペット

133.ハンバーグシンドローム [魚の病気]

前回の記事で少し触れたハンバーグシンドロームについて反響があったと言うか何と言うか・・・色々と問い合わせて頂いたので、前回と重複する部分も多いですが、もう少し詳しく書いてみました。

ハンバーグシンドロームとは・・・。
一般的に5cmを直前にむかえた稚魚の突然死・大量死症候群のことを言い、その詳しい原因や対策は現時点では確立されておらず、ディスカスの繁殖、管理で最も難しい期間と言われています。



 
photo:今は亡き改良のペア。このペア、産卵については遅咲きでメスが8歳、オスが7歳をむかえた秋から3年間産卵しつづけ、メスは力尽きる1ヶ月前まで産卵していた。
この症状について私なりに考察すると、ミルク離れして数週間経って免疫が低下してくるのと同時期に稚魚が色々な餌に興味を示すため「早く大きくさせたい」という自然な発想から大量給餌をしたり、ハンバーグを与えることで水質悪化や消化不良を生じて大量死に至ってしまうのではないかと考えています。

魚病学的に考えられるハンバーグシンドロームの症状としては、給餌量が多くなったことにより水質が悪化し、水槽内の雑菌や寄生虫の増殖がすすむことによってカラムナリス症、エロモナス症、ダクチロギルス症(エラ吸虫)を発病する。 また、ハンバーグを与えることによって水中に溶け出したタンパクが物理的にエラ細胞に絡みついた呼吸障害。 そしてハンバーグや赤虫など稚魚の未熟な消化器官ではまだ消化するのが難しいものを食べることによる腸管の詰り(腸閉塞)などが単独、または併発することによって大量死につながるのではないかと考えております。

これらの根拠として、ハンバーグシンドロームで死んだと思われるの稚魚のエラや腸管などを実際に切開して肉眼で確認したり、顕微鏡で確認したりしたのですが、エラが白く変色(酸欠)していたり、エラが肥厚していたり、虫らしきものでエラが炎症をおこしていたり、エラが黒く腐ったような状態になっていたり、腸管の閉塞が確認できたりと、それぞれのサンプルから見られる症状が上記の疾病の特徴的な症状でした。また、何度かのハンバーグシンドロームの失敗で自分なりにある程度原因と思われる疾病を読み説くことが出来たので、その後の繁殖ではそれらの疾病に注意し、管理を行うことで生存率が上がったことからも原因は上記の疾病であったのではないかと考え今回の考察に至りました。

ハンバーグシンドロームでは、特にエラにダメージを受けた稚魚が多く、エラを集中的にケアすることで死亡率は減少すると感じています。 症状が出てからではほぼ手遅れであることが多く、また、事前に症状を察知するのも難しいので症状を出さない管理、出る前の投薬など、そのタイミングが難しいように感じますので、ウチでは水質を保つことで対応し(場合によっては殺菌灯を使用)、それと同時に定期的なダクチロギルス対策(プラジカンテル、当時はプラジがなかったのでリフィッシュ)なども行っていました。

腸管に対するケアとしてはハンバーグを少量だけしか与えない、またはエラが完全に出来上がるまでは一切与えず、ブライン、ミジンコ、イトメなどの天然下で食べていると思われる餌をメインとし、人工飼料などは原材料の表記を見て自然下で摂取できないものが入っていれば与えませんでした。 ハンバーグを与えない理由としては、主原料である牛肉の脂肪は42℃前後の体温がないと分解できないので基本的に魚類では分解できない。特に稚魚の未熟な消化器官では、ほとんど分解することができず、下手すれば腸管に詰まり続けるので、それらの危険性を回避するためです。 

また大量給餌や消化できないものを与えた場合、腸閉塞だけではなく体全体の酸欠を招くのではないか?とも考えています。以前「ディスカポさん」が彼のblog内でも「食べすぎや消化できない餌を与えることで、無理に消化しようと稚魚の腸管の血流レベルがあがり、その反動で酸欠症状が出るのでは?」とコメントされてましたが、私も彼の意見同様、成長を早める為に餌を与えすぎる行為は腸閉塞と酸欠を併発させるので、良くないのではないかと感じています。

以上のことを踏まえて、もし今、私が繁殖させるのであれば・・・。

  • 水温を上げない。28℃前後で設定 (酸欠対策)
  • 水質をいつもクリーンに保つ。(細菌、寄生虫対策)
  • 殺菌灯などを設置し、雑菌、寄生虫に備える。(細菌、寄生虫対策)
  • 少しでもエラに問題があるようならプラジを投薬。(寄生虫対策)
  • プラジで回復が見えない場合はエルバージュを投薬。(カラムナリス対策)
  • ハンバーグを与えない、または少量与えるだけにする。(腸閉塞、酸欠対策)
  • 大量給餌はしない。(腸閉塞、酸欠対策)
  • できるだけ長く親に体着させておく。(免疫力向上)
  • phを低く設定しない。6.5~7.0で設定。(換水時のphショック対策)
  • 定期的にミネラル塩を入れておく。(エラのケア、浸透圧調整)

続きを読む


コメント(8) 
共通テーマ:ペット

114.高温治療 [魚の病気]

今日は高温治療のメリットとデメリットについて少し考察してみようと思います。 白点病やヘキサミタ症などの寄生虫疾病の治療、カラムナリスやエロモナスなどの細菌性疾病の治療に有効と言われ「病気=高温」という公式が当たり前になっていますが、はたしてどんな効果があって、どう作用しているのでしょう!? 誰でもやってる高温治療だけど、案外、その意味を理解することなく実行している場合も多いのではないでしょうか!?

私が考えるに水温を上げる理由は2つ。 1つは高温にすることで魚の代謝を上げる。そしてもう1つは高温にすることで寄生虫や病原菌の活性を鈍らせる。 しかし私が考察するところ、高温治療の本来の意味は前者ではなく後者での意味合いが強いのではないかと考えています。 魚は変温動物なので、水温を上げれば、その体温も上がります。これを利用して細菌や寄生虫の活性や増殖をとめることで、今以上に悪化させない。そして今魚に感染してる細菌や寄生虫を弱らせるというのが高温治療の本当の意味だと考えています。


photo: EF-S 60mm Macro  F2.8    1/30sec  ISO-800 



病気別に考えてみると・・・・。
◆カラムナリス(尾腐れ・エラ腐れ・体表のただれ)◆
これは細菌性の疾病ですが、27℃以上の水ではカラムナリス菌の活性が極端に鈍り、30℃以上であればほとんど生きていくことができません。 またph6.5を境に、それより低いphだとその増殖が極端に低下します。

◆エロモナス(穴あき・松かさ・腹水など)◆
この病気に関しては、高温治療や塩水治療など、水質の変化だけでは殆ど効果はありません。 水温に関して言えば、0℃~40℃まで増殖可能だし、phも6~11、塩分濃度0~4%まで耐性を持ち、 打つ手がないのが現状です。 魚の飼育で最悪の細菌と言えるものの1つなので、若干活性が鈍る32℃くらいでphを6以下に落とし、抗生物質や専用の薬剤での治療をするしか対応できません。

◆白点病◆
原生動物の繊毛虫であるイクチオフィチリウスという虫が寄生することにより発病するのですが、この繊毛虫は1個の成虫が1時間に3500個ぐらいに分裂し爆発的に増殖します。しかしこの繊毛虫が活発に活動するのが3℃~25℃。 2℃以下、または27℃以上では活動が極端に鈍り32℃を超えるとほとんど分裂できないと考えられています。 

◆ヘキサミタ症(拒食・頭部穴あき病)◆
ディスカス飼育でよく問題とされる頭部穴あき病、拒食、白糞の原因と考えられているヘキサミタ症。これも寄生虫性(鞭毛虫)の疾病ですが、ヘキサミタも白点同様32℃を境にその分裂・増殖が極端に鈍ります。限界水温を33℃と考え、フラジールや駆虫ハンバーグの処方で改善される場合もあります。 エルバージュも場合によっては効果があります。
※ヘキサミタ症に伴う拒食や白糞は、そう頻繁におこるものではありません。頭部穴あきが出ればヘキサミタの可能性が高いですが、単に拒食や白糞だけでは殆どの場合ストレスだと思いますので若干水温を上げる(30℃前後)、照明を消す、隔離する・・・などの処置で改善すると思います。

このように細菌や寄生虫の特徴やライフサイクルが分かれば、魚の代謝を上げて自然治癒を促進しているのではなく、病の芽を摘んでると言うことが理解できるのではないでしょうか!?


では次に高温治療のデメリットについて考えてみましょう。

続きを読む


コメント(18) 
共通テーマ:ペット

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。