SSブログ

298.裂頭条虫 [魚の病気]

1200638.jpg終宿主の小腸で産み出された虫卵は、糞便とともに外界へ出て発育し、虫卵の中にコラシジウムという幼虫を生じる。やがて孵化し、第1中間宿主であるケンミジンコに摂取されると、その体内で成長し、プロセルコイドという幼虫にまで成長する。感染したケンミジンコが第2中間宿主の魚類、両生類に食べられると、プロセルコイドは筋肉内に移動しそこで感染型幼虫であるプレロセルコイドになる。
(Wikipediaより)

<写真はトラから排泄された腸粘膜混じりのプレロセルコイドと思われる物体>
先週記事にしたトラのニキビですが、単純な「ニキビ」と言われる現象ではない雰囲気になって参りました。先週の火曜日に記事を書き、患部が治まる気配がないので翌々日にエルバを処方。そのエルバの処方時に嫁の助言をもとに条虫も疑い同時にプラジカンテルも処方したのですが・・・。さすが元なんちゃって寄生虫学者ですね!? 彼女の助言が的中したようでして・・・。

プラジ処方2日後の早朝、娘に起こされたのですが、時間が早いにも関わらず何故かいつものように二度寝出来ずに何となくトラ水槽を覗いてみるとトラの様子がおかしい! 昨日までは何ともなかったトラのお腹が強烈に膨らみ、ちょっと大げさに言うと危篤状態!? エルバを入れたことでバクテリアが死滅し水質悪化(還元反応)を起こしたのだと思い、朝っぱらから慌てて水換えをしたのですが、長年魚を飼ってると水質悪化であれば試験薬を使わずとも水のニオイで分かるので水換えの最中に「これは水質悪化ではない」と気づいたのですが、とりあえず水換えをして原因が分からずトラを観察していると水槽内の見慣れぬ浮遊物が目に付きました。

そうこうしている間に嫁が起きてきたので事情を説明すると寝ぼけた眼で「やっぱり条虫だったんだー。裂頭条虫じゃないかー? プレロセルコイドがプラジで死んで消化管に詰まってお腹がはってるんじゃい?」っと・・・。ってか何語しゃべってるんだ?この人。(――;)

それで、この後どうなるの?っと問いかけると「排泄できればそれでいいし、出来なければ腸管が壊死するんじゃない?」じゃーあのニキビの原因はコレ?っと問うと「うん。プレロセルコイドが筋肉の中を移動してあちらこちらでニキビみたいな瘤みたいなものが出たり消えたりしたんだと思う。」じゃ~投薬したことで筋肉の中で死んだプレロセルコイドはどうなるの?っと聞くと「白血球が分解するんじゃない? 出来なかったら壊死するんじゃない?」「まぁ~何にしても条虫であることは確かだけど、何の裂頭条虫か分からないからトラ解剖して見たら同定できると思う。」

なるほどね~( ..)φメモメモ・・・って、ふざけるなー!(▼▼メ)凸
1200475.jpg
左目上(向かって右)の瘤はかなり小さくなったでしょ?
彼女が興味を示す方向は何と言う名前の寄生虫か?ってことでしょうが、私はトラを生かしたいだけ。同定なんぞ興味がないのでお断りしましたが、やはり条虫症だったんですね。解剖せずとも同定出来る方法もあるのですが(嫁の恩師に排泄物を送れば)そんな迷惑かけれませんので、裂頭条虫についてウチのなんちゃって寄生虫学者にご意見をお聞きして対策を練ることに。

とは言っても、コレといって対策はない。行う治療としては外科的にプレロセルコイドを取り除くか内科的にプラジカンテルを使って落とす。はたまた何もしない・・・。という3つの選択肢しかないのだけど、魚に外科的治療を行うのは不可能なので実際は2つの選択肢になる。しかし裂頭条虫(プレロセルコイド)がトラの体内にいるからといって特に病害性なく、時にニキビが出たり、瘤が出たりする程度でそれらの症状が出た時点で患部に細菌感染を起こさないようにすればそれでいい。むしろプラジカンテルを無理に連続投与して今回のように一気に大量駆虫をするのが問題。一気に落ちると消化管や筋肉の中で死んだプレロセルコイドを排泄、分解できずに壊死してしまうから。

しかし、今回の駆虫で大半の裂頭条虫は死滅したと思われるので、可能であればまだ体内に寄生している裂頭条虫をトラの回復を待って徐々に落としていけばニキビや瘤の心配もなくなるので、二次爆撃も検討中。とりあえず、今はお腹の膨らみも徐々に治まり、エサを欲しがるいつものトラに戻りましたし、おでこの膨らみもニキビも治まりつつありますので回復に向かってるように感じられます。
ってことで、最後に考察なのですが、ダトニオ特有?のおでこのニキビですが、もしかしたらこれってダトニオマニュアルでよく言われている硝酸塩蓄積による影響ではなく、裂頭条虫が原因の寄生虫感染症ではないかと思えてきました。この裂頭条虫のプレロセルコイドは魚の消化管や筋肉の中を歩き回り? 瘤をつくったり、ニキビのようなものを形成します。

これが硝酸塩蓄積説になったのは、水槽内をクリーンに保てば寄生虫侵入経路の遮断、そしてストレスが減ることで免疫力が落ちないために裂頭条虫の活動が弱くなるだけ?って思うようになってきました。あくまでも推論でしかありませんが肉食魚飼育では多かれ少なかれ生き餌を与えるためにこの裂頭条虫が既に進入していてもおかしくない!また大型魚のエサとしてよく使われるワカサギにはよく裂頭条虫が感染しているという報告例もありますし、その他の魚でもまたは水でも裂頭条虫の混入は否定できない。なので、ダトニオだけじゃなく、全ての魚でその可能性がある! そう考えると怖いようでもあり、また当たり前でもあり・・・なので、体内で裂頭条虫が増えてしまう前に定期的なケアをしなければいけないのではないかと思いました。

コメント(7) 
共通テーマ:ペット

コメント 7

dora

おはようございます(*^^)v

最初、読んでて頭が破裂しそうになっちゃました(^_^;)

生き餌を与える以上、何かしらの寄生虫の侵入は仕方ないんでしょうね
いかに日ごろケアを出来るかの問題ですよね

でも、ホント、ダトさん元気になってよかったです♪
たかあきさん宅のダトのファンですからね~♪

今回も何度か読み返して・・・ 勉強させて頂きます<(_ _)>
by dora (2010-06-16 11:07) 

海馬

たかあきさん
こんにちは。

まずは回復傾向にあるようで、よかったですね!
いや~本当に安心しました。
もっと簡単な病気かなと思っていましたが、こんな複雑なことになっていたとは・・。
今回の原因である「プレロセルコイド」は無理に駆虫しなくても、体内に存在してても命に別状ないってことですよね。腫れがでてきたらその都度患部に薬をヌリヌリすればいいんですか?

でもヌリヌリの対症療法よりも、私としても発見したからには完全に駆虫したくなります。でもそれが命に関わるんですよね。
排出できなくて腸管が壊死する危険性から回避するためには、一回の投与で完全駆虫を狙わないで、規定量より減らした薬浴で回数を分けて治療した方がいいってことですか?でも規定量から減らすと効果もかなり落ちる気がしますし・・。
まだ体内に寄生しているかもしれない裂頭条虫を徐々に落とすのはどんな方法ですか?

うちもメダカを与えているので、その危険性大です。
でも生き餌だけでなく、水からの侵入経路もあるのでしたら、水の管理を徹底するしかないですね。殺菌灯もすべての病原菌には効果ないでしょうから、やっぱり水換えでしょうね。
でも奥様のアドバイスのおかげですね。
解剖はちょっと困りますが・・。^^;
by 海馬 (2010-06-16 12:47) 

たかあき

doraさん

またややこしい内容になってました?(^_^;) 私も嫁の話を聞きながら自分の中で理解するのに時間がかかっちゃいました。(◎o◎) でも、こんな状態でして・・・。

生き餌がダメだということではないけど、ミジンコから感染(寄生)してくる寄生虫なので大型魚ではどんな魚にでも寄生しててもおかしくないようです。かと言ってすぐさま生死に関わる状況にはならないようですが、ボコボコ顔にニキビや穴が出来ますし、二次感染も怖いのでね~ ケアは重要かと思います。なんにしても、トラが最悪の状態を脱してくれてよかったです。

by たかあき (2010-06-16 21:02) 

たかあき

海馬さん

ちょっと複雑なことになってるでしょ!? 今日もまた1つ新しいニキビができてましたからまだまだ潜んでそうですね!?プレロセルコイド。
二次感染を予防すれば大きな問題にはならないのかもしれませんが、私も海馬さん同様、いるのが分かっていて放置するのは嫌です。特に歳も歳ですし、免疫力の低下から二次感染の危険性も日々高くなるでしょうしね。

ってことで、徐々に、そして完全に落としたいと思っています。 ただ、前回の失敗を踏まえて規定濃度以上の濃度で薬浴は行わないようにしたいと思います。前回は1.5倍以上でしたからね・・・。
なので、規定量を入れて様子を見て(特にお腹の状態)そしてある程度排泄したのを確認してから再度投薬って感じで何度か行う予定です。新しいニキビが出なくなるまで。たぶんあと5回くらいの薬浴が必要なんじゃないかと思います。・・・ってことで、先ほど規定量で2回目の投薬を行いました。 これで2日後にはまた粘膜混じりのプレロセルコイドが出てくるのではないでしょうか!?ちなみに前回のおでこのオデキ・・・は完全に消えました。

嫁のアドバイス・・・・・。もう慣れましたが聞き様によっては残酷であり、恐怖であり、正論でもあり・・・って感じです。(^_^;)
by たかあき (2010-06-16 21:05) 

飼育係

トラちゃん峠を越したみたいで良かったです。
ホッとしました。

条虫を駆虫する場合は、餌を抜いて、ある程度排便させてから行った方が良いという事でしょうか?
写真で見た感じ、結構大きそうな塊ですね。
しかも粘性がありそうな…
これが詰まったら厄介ですね…

条虫がワカサギによく感染している、という事ですが、
冷凍物でも、解凍すれば条虫は生きているのでしょうか?


by 飼育係 (2010-06-17 02:23) 

たかあき

飼育係さん

そうですね。最低投薬3日前からエサを抜いてやった方がいいと思いますが、トラもちゃんとエサ抜きしてから投薬したのですが、この状態だったので、胃腸にエサが残っていればもっと危険だったかも!?

ワカサギですが、冷凍したら恐らく死んでしまってると思います。冷凍物を使うのであればあまり神経質になる必要もないと思うのですがどうなんでしょうね。
by たかあき (2010-06-17 10:17) 

suisougakka

お久しぶりでございます。
お元気にされていますか?

以前、こちらブログの写真と同じような糞をワイルドディスカスの水槽で見つけたことがあります。

何をやっても調子が悪いままのディスカスを半ば諦めて夏の高水温で放置していたら、水槽内にこのような糞が漂っていました。
薬はフラジールやらプラジカンテルやらを色々試していたので、それらが残っていたのかもしれません。

この件に関しては、実は忘れかけていたのですが、Facebook上のコミュニティで、似た様な症例の投稿を見かけたので、たかあきさんのこの記事と共に思い出しました。

FBに投稿された方は、レスバーミンで薬浴したら卵を水槽内に発見したそうです。
レスバーミンは主成分が表記されていないのですが、脱皮阻害剤のようでして、おそらくジフルベンズロンではないかと思うのですが、この薬も裂頭条虫に効果があるのでしょうか?

或いは、裂頭条虫以外の何か他の寄生虫を駆虫したと考える方がよいのでしょうか?

ちなみにですが、レスバーミンの薬浴一回目では、ディスカスはまだ完治していないようです。

変な質問で申し訳ありませんが、もし何か分かればお教え下さい。
by suisougakka (2021-05-19 03:18) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

297.ぽっこりお腹299.オマケ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。