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289.トリコジナ [魚の病気]

4月も半ばを迎え本格的な春になって参りましたが、皆さん季節の変わり目(暑かったり寒かったりしますが)体調など崩れさておられませんか? えぇ?わたくしですか? 大丈夫です。おかげさまでピンピンしております。・・・誰も聞いちゃいないって!?(^_^;)
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う~ん。白と黄色のコントラストがなんとも人工的な演出ですなぁ~ でも魚は動じてません。 この仔たちにはもう慣れっこの薬浴なので・・・。 本当は薬なんぞ使いたくはないのですが・・・。
前回の記事の最後にこの時期はカラムナリスやエロモナス、イクチオフチリウス症(白点)などにご注意ください!っと書きましたが、書いておきながら自分の水槽で出ちまった!(^_^;) まぁ~気をつけていても出るもんは出ますんで仕方ありませんね・・・。 ってことで、エルバージュ+フレッシュリーフ+ハダクリーン(プラジ)+フラジール+塩0.1%+水温30℃で要観察中です。ちょっと気合入れすぎの処方って気もしますが、毎年春~梅雨にかけて異常が発生した場合はいつもこんな感じです。 この時期は気を抜くと逝きますからね~ほんとに。 私の勝手な推測では春の長雨の後、気温が急激に上昇し、その後に寒の戻りがあり、また気温が上がった直後が一番危険!

で、実際にどうな状況かと言いますと、とりあえずウチの水槽で一番美しいキャンディちゃんの体表の数箇所に粘膜の過剰分泌が見られます。そしてその粘膜の過剰分泌した中心部に白い小さな点が出来ていました。他の2匹も尾鰭や体表に1つ2つですが、キャンディと同じように白い点があり、時々流木や産卵筒にエラや体表を擦り付けたり腹鰭をブルブル動かす動作もあります。・・・とは言ってもエサは良く食べるし泳ぎも普通なんですがね~。

ってな感じで、一般的な所見として軽症のカラムナリスとカラムナリス感染からの日和見感染的な軽症イクチオフチリウス症と診断しました。よってカラムナリス特効薬であるエルバとイクチオフチリウス症特効薬であるマラカイトグリーン含有のフレッシュリーフ+塩が妥当かと・・・。その他に軽症カラムナリスとよく似た症状であるトリコジナ症(原虫・繊毛虫類)もこの時期にはよくある話なのでフラジールも同時処方です。 この処方で3日後にはほぼ治っていましたので、実際はどれが原因だったのか?また複合感染だったのかは定かではありませんが、治療法としては正しかったのかなぁ~なんて思ったりもしています。・・・って感じで「調子悪いです」→「でも治りました」で終わりの記事なんですが、それでは面白くないので、今までこのblogでは書いたことのないトリコジナ症についてちょっと聞いて頂こうかと思いますがいいです??? またクドクド書きますが!(*^^)v
トリコジナ(Trichodina属)は、原生動物の繊毛虫に分類される寄生虫です。水槽には常在していると言ってもよいほど水の中には普通にいます。ただ大量に寄生してもはっきりとした症状が現れないことが多く、体表が少し白っぽいとかザラついていたりという粘膜の分泌異常や鰭の付け根が充血してるように見えたりとか食欲不振、動きが鈍いなどの症状が徐々に現れます。もちろん進行すると命を落とす危険性もありますけどね。

またトリコジナの特徴としては、寄生した魚の細胞崩壊物や、体表についたバクテリアなどを食べているので、虫が数個発見されたからといって(見えませんが)すぐに駆除しなければいけないような病気ではありません。魚が病気はもちろん、ストレスもなく健全に育っていれば虫の繁殖を抑える力もありますので恐れることはありません。ただ飼育水の汚染や過密飼育、温度の急変、栄養状態の悪化などがある場合、体力(免疫)が低下して大量繁殖すると考えられています。つまりは季節の変わり目がコイツの稼ぎ時ってことですね! カラムナリスや白点病に便乗して襲ってくるわけです。

治療法は塩やホルマリン、過マンガン酸カリウムなどがよく効きます。特に初期症状であれば、単細胞の原生動物ですので浸透圧調節ができないため1%の塩化ナトリウム水溶液に数時間塩水浴させることで簡単に駆除できます。(もちろん塩水に耐えれる魚に限りですが) また、原虫ですからマラカイトグリーンも効果は無きにしも非ず。試験管内の実験ではメチレンブルーやマラカイトグリーンで完治した例もありますので! でもやっぱり原虫と言えばフラジールでしょうね!? 白点病、腸管繊毛虫症、トリコジナ(白雲病とも言う)などなど原生動物には効きますから!

・・・って感じで、白くぼやけた感じの粘膜異常が見られて、カラムナリスを疑って、エルバを処方してみたが・・・。って時にはマラカイトを試してください。それでもダメならフラジールで! 基本的にエルバで3日薬浴して効果がなければ、この時期はトリコジナも疑うのがよろしいかと思います。


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265.プラジは苦手 [魚の病気]

夏にトラのHLLE治療を行なった時に、色々な川魚を食べる大型魚だと言うことを考慮してフラジールに加えプラジも経口投与していたのですが、プラジを与え始めて2日後くらいに糞と一緒に3cm~5cmの細い虫のようなものが排泄された。後で嫁に見てもらおうと思ってそのまま放置したら数分後に消えてしまったので、結局その細い虫らしきものが虫だったのか?そうではなかったのか? 詳しくは分からずじまいで、その後HLLEも順調に治まったので、その細い虫らしきものについて嫁に話すこともなくそのまま忘れてしまっていたのだが・・・。
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先日、嫁がトラ水槽を見るとエラの上、人間で言えば耳がある位置?の鱗に凹凸が出来ていて、その部分が若干白くぼやけた感じになっていることから「トラの皮下に虫がいるんじゃないの~?」っと言い出した! その一言で思い出した! 夏の日の出来事を・・・・。 やっぱりあの時の細い虫みたいなヤツって虫だった?(^^ゞ

いやぁ~思い当たる点はいくつかあるんです。 以前に記事にしましたが、ウチの大型魚は夏場、家の前の川で獲れる川魚やエビを与えてまして、例年ならモロコが中心で時々テナガエビって感じなんですが、今年はモロコの姿がほとんど見られず、その大半はブラックバスとブルーギル! この2種は肉質はいいものの、色々な寄生虫が寄生していることが多く、イカリムシは結構な確率でついていましたし、口の中に肉眼で確認できる何やら得体の知れない虫らしきものがいたり・・・。

それでも基本は丈夫で強い魚なので平気で共存していたりしてなかなか症状が見えない場合が多いのです。 そういう事情もあるから、極力この2種は与えないように、また与える時はとりあえず検疫?してから与えるようにはしてたのですが、それでも何度か「怪しいかなぁ~?」っていう第一印象の魚を数日間様子を見た後に「大丈夫かなぁ~?」って程度で与えたこともあって・・・。 その「怪しいかなぁ~?」っていう症状がまさに今回のトラの症状だったりするのです。 餌にしたのは小さなブラックバスで、トラと違って大きくないので少しの鱗の凹凸が見えにくく「白っぽいかなぁ~? でもこれは網で上げた時のスレかなぁ~?」みたいな部分で迷い、結局与えてしまったりって感じで・・・。

ダメですね~ こんなことしちゃ!(ーー;) それでなくてもだんだんと年老いてきていると言うのに! まぁ~見た感じこれが原因でトラに致命的な問題が起こるようには思えませんが「このまま見過ごせないでしょ!」ってことで、ディスカスと同様、フラジール+プラジの薬浴を試みました! 経口投与でも良かったのですが、なぜかトラはプラジの経口投与を嫌う(吐き出す)ので、薬浴から始めた方が無難だと思い、いつものようにプラジを乳鉢でしっかりと水で溶かして水槽に投入したのですが・・・。

二種混合の薬剤を水槽に入れた瞬間・・・。 それまで大人しく泳いでいたトラが今まで見たことのないスーパージャンプ! 続いて口を大きく開いて閉じて、何か異物でも飲み込んだかのように大慌て! 狭い水槽内を狂ったように泳ぎ回り水槽周辺は暴れ狂ったトラが跳ね上げた水で洪水状態。 プラジの粉が濾過槽に綺麗に収容されるまでの約15分間暴れまわってました。

別に薬剤が原因でトラがショック状態になったわけではありませんよ! なぜかトラはプラジ特有の臭いが大嫌いなようで・・・。経口投与の時にもプラジの量が多ければ(臭いがすれば)吐き出していたので、臭いが嫌いなことは知っていたのですが、これほど暴れ狂うとは思いもよりませんでした。 トラのあんな落ち着きのない姿・・・。昔自分の体の半分以上あるパロットファイアーを間違って頭から飲み込んで吐き出せなくて暴れていた時以来?(^^ゞ

この薬剤投与の数日後、左側面の患部は姿を消し、また数日後にもう一方の患部からは何か白いニキビのようなものが出来て、その後は徐々に鱗の凹凸もなくなり現在は特に問題ない状態に戻ってきたので、とりあえずは一安心しているところなのですが、当分の間は毎日少量のフラジールとプラジを餌に挟んで2週間くらいは経口投与で与え続けようと思っています。 それにしても・・・。大型魚が狂った時は怖いです! 改めて大型魚のパワーを感じました。(^^ゞ これからはトラにプラジ薬浴は行えません! 今回は無事でしたけど、薬剤の副作用ではなく、薬を入れた時の大暴れで事故死してもおかしくない状況でしたからね~ 自分も頭から水をかぶらされましたし!(ーー;)
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264.フラジールで薬浴 [魚の病気]

1週間くらい前に数少ないディスカスの1匹(キャンディ)が透明糞を出して食欲がストップしてしまいました。たぶんウチに来て初めて!?(――;) 現在のディスカス水槽では一番大きくてメンタルも強い仔なのに・・・。食欲はなくとも他のディスカスを蹴散らして威張ってはいたのだけど、今までの経験上、この手の症状(食べなくて威張り、怒りモードの個体)は見た目元気に見えるけど、元気だからと放置しているとかなり拒食が長引いて激痩せしたり、下手したら落ちてしまう! なので、このままではちょっと危険だと思い、とりあえずお腹の寄生虫対策を行ないました。行なった処置は「フラジール+ハダクリーン+塩0.1%+水温33℃+3日間餌を抜き+終日消灯」。
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焦点距離:60mm 露出モード:マニュアル(M) 測光モード:平均 絞り:F2.8
1/13sec 露出補正±0 WB:オート 感度:400 画像モード:JPEG
照明:PG-Ⅱ(15W)×1+室内蛍光灯(天井)86W マニュアルフォーカス 三脚なし
とりあえずこの処置で4日後に調子は戻ったのですが、このフラジール薬浴を行なっている期間、よく言われている「フラジールの薬浴は効果がない!意味がない!」っていう言葉が頭をよぎり、この言葉について少し考えてみました。 本当に効果がないのでしょうか?

この「フラジール薬浴意味ない説」・・・いつ誰が言い出したのかは定かではありませんが、名高いショップの店員が堂々と語っているのを聞いたことがありますし、何かの読み物でも絶対の自信で書いてある記事も見たことがあります。でも個人的な意見として「効果がない」とは思えないんですよね~・・・。たぶん同じような症状の個体がフラジールによる薬浴で治ったって方も多いでしょうし、ウチでもこの処置で普通に治っていますしね。

たぶんこの説の言いたいところは、お腹にいる寄生虫なのだから、薬を食べないと意味がない! 食べて直接寄生虫と薬が触れないと効果が出ない!っと言いたいのでしょう。確かに経口投与で直接お腹に入れることが出来るのであれば、本来の効果というか何というか、駆虫の効率は非常によいと思います。また水を大量に飲む海水魚なら水と一緒に薬剤も飲み込むので、これもまた効果があるでしょう。 でも調子が悪くて餌も食べれないし、浸透圧調整の関係から水を飲むことができない淡水魚では効かないのではないか?・・・って言うのがこの説を唱えた理由なのでしょう。

しかし、このフラジールと言う薬、薬学的に考えると・・・。いわずと知れた?婦人科用トリコモナス原虫の特効薬で、膣に直接入れて駆虫する発泡錠と経口投与する内服錠の2つのタイプがあります。直接タイプの発泡錠はともかくとして、この「食べて直接寄生虫に触れないと意味がない!」っという説が正しいのであれば、内服タイプを使っても(消化器官に入れたところで)膣内のトリコモナスを駆虫することが出来ないと言う事になります。それこそ飲んだところで意味がない!って話になってしまいますよね? しかし、沢山の研究費を使って厚労省の認可も下りている薬がそんな無益なはずがない!・・・そう思いません?(^_-)

このように冷静に順序だてて考えると「薬浴効かない説」は音を立てて崩れてしまいますよね~!?
・・・ってことでフラジールは薬浴でもちゃんと効くんです! 作用するメカニズムは人間とは若干異なりますが、この薬を水槽に入れることで主成分であるメトロニダゾールが水に溶け、その粉が直接口に入ることもあるでしょうが、基本的にはエラから薬剤が浸透して、血中の薬の濃度が上がる。そしてその薬の混じった血液が体内を循環して体内で生きて行けない、増殖できない(正確には寄生虫のDNAの鎖を切って)駆虫されるっていう仕組みです。

また、薬の使用マニュアルで「フラジールを50L/1錠+34℃で3日間薬浴」っというのをよく見かけると思うのですが、この処方の意味は極限の温度まで上げて代謝を上げるのと同時に人間用の薬剤マニュアルと同じで、血中濃度が完全な駆虫レベルに達するであろう3日目まで薬浴を続ける・・・って意味だと思います。 抗生物質にしても駆虫薬にしても血中濃度を最大限まで上げるには断続的に飲み続けて3日間かかるって言うのが薬学の基本のようです。魚にも同じことが言えるかどうか分かりませんが、最低3日間は薬漬けにした方が良いと私も思いますし、また上手い具合に3日後以降から効果も現れることが多いので!!

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257.Autumn rain syndrome [魚の病気]

最近、リンクさせてもらっている方やその他いろいろな所で「ディスカスが不調」という文字をよく見かけていましたが、実はウチも何となく調子がよくないので、薬浴をしていました。今はとりあえず落ち着きましたが、今年はどこのお宅でもディスカスの調子が思わしくないみたいですね~
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今までディスカスを飼っていて感じるのは「梅雨~秋の約4ヶ月間は難しい」特に異常気象だった今年はなお更ですね。以前記事にした「105.Rainy season syndrome」でも「これが原因ではないか?」みたいなことを書いたのですが、今回は「Autumn rain syndrome」と題してこの時期に発病しやすい病気の原因と対策について考察してみました。

Autumn rain syndrome・・・苦し紛れに英文でつけたタイトルですが、直訳で「秋雨症候群」ということでお願いします。(^^ゞ Autumn rain syndrome 略して「ARS」はRainy season syndromeと同じように気候が不安定な時期に発症する色々な病気なのですが、我が家でも、他のお宅でも発症しているのは2パターンではないでしょうか!?エラの不調と体表の何らかの異常。

まずはじめに治療法を書くとすれば・・・。
 =Step1=
何らかの不調を感じた時点で「塩(100g/100L)+竹酢液(5ml/100L)+HB-101(10滴/100L)」で数日間様子を見る。改善傾向にあればそのままで。
 =Step2=
改善の兆候がなければ「エルバ(適量)+塩(100g/100L)での薬浴」。エルバの効能が3~5日間有効なので、3日ないし5日で半分換水して換水分のエルバを再度投入。これを10日程度。
 =Step3=
別に3番目の選択肢ってわけではないのだけど、エラの不調の原因が吸虫ではないか?っと感じられたならば「エルバ+塩+プラジカンテル」。プラジを常備している方はStep1から2を飛ばして3の方が手っ取り早いと思います。・・・って言うのが我が家の治療法です。
次に特徴的な症状ですが、体表にポツポツとオデキのようなものが出たり、体表の一部または全体に粘膜の異常分泌が見られたり、毛羽立ったようになったり、またエラの開閉が早かったり片エラ呼吸だったり・・・って言うのが多いのではないでしょうか!? そして通常の病気と違って餌を食べなくなるってことはあまりないように思います。患っていても食欲はあります。
このように一見するとカラムナリスによる肌荒れ、同じくカラムナリスによる細菌性エラ病、エラ吸虫症などを疑ってしまうのですが、私が見たところ、確かにその可能性は高いかも知れませんが、ARSはこの時期特有の少し違った原因があるのではないかと考えています。

雑誌や専門書を見ていると、何らかの病気を発病した場合、なぜか「この病気だ!」っとカテゴリーを決め付けて説明しているものをよく見かけます。しかし学術論文などでは「これも疑わしい、あれも疑わしい」と細菌やウイルス、寄生虫に真菌まで色々疑って考察しているものも多く、実際に患部(病巣)のDNAを解析したらカラムナリスだと診断していたのにカラムナリスと同じ常在菌のSerratiaやAcinetobacter、またはそれら数種の複合感染だった・・・っというもの良くある話のようです。

つまり、安定した湿度や気圧、水質下で発病したものであれば専門誌等であるようなカテゴリーにきっちりと合った病気である場合が多いのですが、ARSの場合、水質などが引き金となって発症するのではなく、湿度や気温差、落下細菌が大きく影響しているのではないかと考えているのです。
その根拠として、この時期に水槽の手入れをしていると、いつも以上にガラス蓋にヌメリがついていたり、蓋と蓋が重なりあっている部分に悪臭がする。(ムレた足のような臭い)また水槽周りにカビが多くなったりと水の中以上に水槽周りに何らかの異変が多いことがあります。 このように、この時期に発症した肌荒れやエラの不調に関しては、無理に「この病気だ!」っと断定せずに細菌、真菌、寄生虫など全てを疑い、リスクの少ない治療法から実行していくのがベストだと思っています。

そういった意味で私はエルバージュを第一の薬剤として使用しています。カラムナリスにしろ、エロモナスにしろ、セラチア、サイクロバクター、アシネトバクターetc・・・にしろ、常在菌でディスカスの健康を脅かす細菌のほとんどはグラム陰性菌です。そしてグラム陰性菌の特効薬はフラン剤。つまりエルバやグリーンFゴールドが第一の選択肢にあげられるわけですが、エルバは単純にフラン剤のみ。一方グリーンFゴールドはより幅広い治療効果を得るためにサルファ剤も含まれています。

ここでお気づきですよね!?(^_-) サルファ剤=グラム陽性菌に効く・・・つまりはグラム陽性菌である濾過バクテリアまでも弱らす=生物濾過崩壊!そして治りが悪くなる。こういった理由から我が家では全く読めない(想像につかない)症状の時以外グリーンFゴールドを使わないようにしてます。

ちなみに、上で紹介した治療法では、細菌類(グラム陰性の)に関しては抗菌剤のフラン剤、エラ吸虫に関してはプラジカンテル、体表寄生の原虫に関しては塩という風にそれぞれの原因に適した処方になっています。 だた、カビに関しての処方はないので、必要に応じてメチレンブルーなど加えてもいいかも知れませんね。

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244.トラの穴 [魚の病気]

タイトルを書いていてタイガーマスクが思い浮かんだのですが、タイガーマスクと言えば・・・。
先日、2代目タイガーマスクの三沢光晴さんが試合中に亡くなったらしですね!? あまり・・・っというか全くプロレスには明るくないので、どれだけ凄い人なのかよく分からないのですが、そんな私でも「三沢」という名前と「顔」、そして「ノア」っていう団体名は知っているくらいだからプロレス界では結構な功労者だったんでしょうね~!? 志半ば・・・だとは思うのですが、安らかに眠って頂きたいです。
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さて、今日の本題ですが・・・とうとう出てしまいました! トラにも穴が!
シクリッドを飼っていれば、ある程度よく見る症例なので慌てもしませんが、私の親友のトラに穴が開くなんて~ そりゃ~ちょっと慌てますよ! (^_^;)

患部の写真を撮ろうと試みたんですが、なかなか左側面は見せてくれないトラなので穴の開いている部分は撮影できませんでしたが、左の目の上に1つ小さな穴がくっきりと開いてしまってます。「ダトニオでも穴あきになるの~?」・・・これがディスカスと同じ鞭毛虫のよる頭部穴あきなのかどうか詳しいことは分りませんし、いつものごとく色々な文献を読み漁ってみたのですが、Datonioに関するHLLEの詳細はありませんでした。しかし、HLLEそのものについては淡水魚のほとんどが患う可能性がある病気だし、特にスズキ目の魚に発症例が多いことから、可能性は高いと思うので、とりあえずはディスカスと同じ方法で治療は開始したのですが・・・。

発症から既に1週間近くなりますが、ディスカスのように患部が急激に拡大、または他に穴が増えると言ったことはなく、進行がかなり遅いので、とりあえず3日ほど様子を見てからフラジールとプラジカンテルを粉末にしてディスカスハンバーグでサンドウィッチして3日ほど与え、若干塞がりつつあるような気がしたので、一気に塞いでしまおうと思い、昨日(たぶん初めて?)トラの水槽にフレッシュリーフを入れて様子を見ることにしました。病気知らずで薬浴知らずのトラだったから薬の反応が少し気になったのですが、特に問題なさそうですね。

今回の発症原因・・・。思い当たる点が結構あって、トラには申し訳ないけど、確実に私のミスです。
一番問題だったのは、トラの丈夫さに甘えて水の管理を数ヶ月間テキトーにしていたこと。飼い始めて17年間、ちょっとでも水質(トラの泳ぎ)に違和感を感じたら、例え40℃の熱が出てても、夜中であっても水換えをし、毎日必ず健康チェックをしていたのに、最近は玄関にいるにも関わらずトラの姿を1度も確認しない日もあったし、3ヶ月くらい前から栄養バランスを無視した給餌もやっていた。 まったくもって飼い主失格ですね~ これからはもっと気を引き締めて大事にしなきゃ! 若い時ならともかく、もうかなりお年寄りのはずだし、下手したら取り返しのつかない事態にもなりうるし。 はぁ~ほんとにすみませんでしたって感じです。 早く治ってくれるといいんだけど。
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243.抗酸菌症(後編) [魚の病気]

前置きなしで早速ですが、まずは「抗酸菌って何?」・・・ですが、これはMycobacterium(マイコバクテリウム科マイコバクテリウム属)に属する菌の総称で現在確認されているだけでも約90種類存在すると言われています。そして、この中には何と!「Mycobacterium tuberculosis」つまり、ヒト型結核菌も含まれているのです!

だんだん怖い話になってきましたね~(^^ゞ もう少し付け加えて更に怖い話にすると、90種類ある中で30種類・・・つまり1/3は人間に病原性があると言われていて、なな何と、Mycobacteriumで死んだ魚を触って感染したという事例も何件もあるのです! こうなると愛魚が死ぬ生きるの問題だけではないですよね~ もしかしたら「あなたも既に感染してるかも~~~」\(◎o◎)/!
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あんまり怖いこと言ったら魚を飼う人がいなくなっちゃうかも知れないので、とりあえずこの辺で魚の話に戻して。(^^ゞ まず最初に「自分の魚が抗酸菌に感染しているかどうかを見極めるにはどうしたらいいのか?」・・・ですが、抗酸菌症の記事を書いておきながら何なんですが、たぶんはっきりと「抗酸菌症だ!」って断定するのは無理だと思います。少なくとも生きてる間は! 見つけるには解剖して病巣部を見て何となく「Mycobacteriumかも!?」って推測できる程度で、更にどのMycobacteriumかを同定するには組織をPCR・・・つまりDNAレベルで検査しなくてはならない。それって一般的には無理ですよね~ なので、基本的にはエロモナスでもない、他の一般的な症例にも該当しない、薬剤投与でも効果がない・・・などと言った時に、この抗酸菌症を疑う程度しか我々には出来ないのです。

・・・と、切り捨ててしまうと全く予想もできないので、いくつか例をあげるとすれば。
体表に感染した場合は、潰瘍化し穴が開く。黒い斑点ができる。ヒレがすり切れる。鱗が落ちる。 筋肉に感染した場合は、外部にむかって破裂する。腹部では結節が破裂。 眼に感染した場合は、眼の後ろに結節ができる。眼球突出。 内臓に感染場合は、連続的または急速に痩せる。腹膜炎を起こし腹が膨れてくる。 浮き袋に感染した場合は、血清がたまり、転覆病。 骨に感染した場合は、脊柱やヒレが変形。(ネオン病)・・・などなど。 ※結節はあらゆる器官に広がり小さい白~灰色または黄色い結節ができる。(今回の写真のバイランティの肝臓にも結節らしきものが!?)

次に治療に関してですが・・・人間であれば体力があるので現在では治らない病気ではありませんが、小さくて弱い魚ですので、残念なことに「これ!」っと言った特効薬もなく治すことも難しい。 結局は一通りの処置をしてみて改善の見込みがなく、何となく抗酸菌症の臭いを感じたら、死んで他の魚に内臓を突かれて水槽内に抗酸菌をばら撒かれる前に隔離するか処理するか・・・って言うのが一番リスクの少ない方法だとされています。

でも、大切な愛魚を何もしないで殺してしまうのは嫌ですよね~ ダメかも知れないけど、何とかしたい! そんな方の為に僅かながらも情報提供! ただ、成功率は分りませんよ! 抗酸菌症に関しては養殖業者でもしばしば問題視されている話なので、世界中のあらゆる機関で研究されていて色々な治療法が試されています。 その中で個人的に「観賞魚にはこれがベストかなぁ~」って思う治療法をここで紹介するだけなので・・・。

って感じで独断と偏見で話を進めさせてもらうと・・・。
まぁ~調べれば分ると思いますが、抗酸菌はグラム陽性菌で、細胞壁に多量の脂質を含有するため消毒薬抵抗性が強い。なので、グラム陰性菌をターゲットとした一般的な魚病薬では歯が立ちません。特にエルバージュは全くもって効かない。強烈な万能薬エルバでも効かないとなれば、この時点で「エロモナスじゃないな!」って気づき抗酸菌症を疑う1つのポイントかも知れませんね。

ここで用意するのがミノサイクリン(ミノマイシン)。ディスカス飼育では業者さんや一部マニアの方が使っていますが、これは人間用(主ににきびの治療とか)の薬剤でグラム陰性陽性共に効く!薬浴で30mg/L、経口投与で2mg/g(魚体重)で沈静化したとのデータがあります。他の抗生物質より耐性菌が出来にくいという面でもミノサイクリンは有効かも知れません。また体表に潰瘍などがある場合、これと同時にテトラサイクリン軟膏やペニシリン軟膏を患部に塗布するのも有効である・・・っというデータもあります。 錦鯉の外傷にはよくやる手ですけどね。(^_-)

これでダメなら人間の結核に治療に使われるイソニアジドやリファンピシンで完治した例が海外にあります。用量用法は詳細なデータがないため紹介することが出来ませんが、我が家で人間用薬剤を使う時の(薬浴の)1例として、人間用薬剤の用法用量を見て、成人1日3回、1回量2錠などと記載があった場合、水槽に入れるのは100Lタンクで4錠。人間用薬剤は基本的に体重50kgくらいの人で何錠っていう計算が多いので、100Lであれば100kgつまり2倍の量で・・・って感じで使うようにしてます。今の所失敗はないですよ! 信じるか信じないかはお任せしますが。(^^ゞ

まぁ~こんな感じで10日くらい様子を見て頂いて、ダメなら他に打つ手はありません。
最終的には魚の体力と治癒力、そして運! ある意味、不治の病ですからね。魚に感染したら・・・。

以上が今のところ文章にしてお伝えできる抗酸菌症についての情報です。 抗酸菌症に関しては国内、海外あわせると恐ろしいくらいのデータがあるので、これを全てまとめるのはちょっと不可能!? ただ1つ感じたのは、抗酸菌について調べていくと、怖い病原菌である反面、全ての生物は抗酸菌と共存しているのではないかと感じました。 生後半年までの赤ちゃんにBCGを接種するのは当たり前! ワクチンではあるけど、これも体内に結核菌(毒性のない)を入れて免疫をつける! これと同じで(正確には同じじゃないけど)淡水魚の約半分の種が抗酸菌を保菌していると言うのは、種を保存、つまりは抗酸菌から身を守る為に彼ら菌と行なった契約ではないのだろうか!? 免疫が落ちたり年老いた個体が死んでいくのは弱肉強食の自然界では当たり前の話。この死因が抗酸菌症であっても不思議ではなく、もしかしたらそれが定められた死に方だったのかもしれない。抗酸菌に打ち勝つDNAを残していく為に・・・なんて意味の分らない禅問答モードに入ってきちゃったのでこの辺で終わらせて頂きます。

最後に・・・。抗酸菌症で死んだ魚を触ったところで健康な人や感受性のない人にはほとんど感染しません! しかし、体が弱っていたり感受性の強い人であれば感染する可能性も大いにあります! これは基本中の基本ですが、水槽を触った手、特に怪しい死に方をした魚に触れた場合は必ず石鹸や消毒用アルコールなどで手を洗ってください! また水換えの時にホースの片方を吸って・・・サイホンの原理での水換えの時も水を飲まないように! 大腸菌やその他細菌も怖いですけど、抗酸菌もかなり危険ですからね! ご注意くださいね~ 今回もまた長い文章にお付き合い頂きありがとうございました。(^^ゞ
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242.抗酸菌症(前編) [魚の病気]

ある夜の話。いつものように1時過ぎに床に入り、ちょうど2回目のレム睡眠を向かえた頃・・・。
夢を見た! その夢に出てきたのは10年前の自分でディスカス水槽の前に立ち、年老いて痩せているディスカスに向かってブツブツと何か言っている。 よく耳を澄ませて聞いてみると「抗酸菌だ!ミコバクテリヤだ!!」って言っている。
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相変わらず、夢まで魚の話か! 起きて一人で突っ込んで笑ってしまいました。(^^ゞ 10年くらい前「そう言えばあの頃、Web版C’ZONEで抗酸菌についての記事を書いたことあったなぁ~」っと、ほとんど忘れていた記憶を甦らすために自分用に作ってある魚の病気に関するデータベースを読み返した。 ん?これってもしかして!?\(◎o◎)/!

皆さんはこんな経験ありませんか? 例えば・・・。
●ある程度年老いたディスカスが急に痩せてきた。(餌は食べてるのに)
●浮き袋の辺りが膨れてきた。(転覆・浮き袋障害)
●ネオンテトラの背骨が曲がってきた。(ネオン病)
●水質に問題があるとは思えないのにアナバスがいきなりポロポロ落ちだした。
●体に穴が開いた。
●色が褪せてきた。
●常にヒレをたたんでいる。
●眼球が突出した。
・・・などなど症例をあげればきりがないのだけど、とりあえず、エロモナスっぽいけどちょっと違うような原因不明の魚の死!・・・これってもしかしたら抗酸菌の仕業かも知れません!!

過去のデータを読み返すと同時に現在発表されてるデータも照らし合わせて考察すると、結構な確率で抗酸菌を保菌している魚が多い! 淡水魚では5割以上、海水魚でも1割強。中でもディスカスやパラダイスフィッシュ(アナバス)、ネオンテトラはほぼ確実にこの菌を保菌していると説明されてるデータもある。ウチで飼ってる魚たち・・・ドンピシャじゃん!(^^ゞ

まぁ~そんなこんなを考えると、今まで年老いたから痩せて死んで逝くって考えていた図式もある意味違うような気がしてきた。 本当は年老いて免疫が落ち、保菌していた抗酸菌が体中を蝕み痩せが必要以上に進行し死んでしまう・・・。 また、浮き袋障害についても抗酸菌が浮き袋に感染し、内部に血清がたまり、ひっくり返ってしまう。

どのケースにしても、抗酸菌を保菌してるからといって慌てる必要はなく、逆に考えれば抗酸菌に強いとも言える。ただ、これは若くて健康でストレスのない状態での話。年をとってきたり、ストレスを与え続けたりした場合には免疫が落ち、日和見感染的に体内に仕掛けてあった時限爆弾が一気に爆発する。そして抗酸菌にやられ魚はミイラのようになったり、穴が開いたり、背骨が曲がったりと美しいとは言えない死を迎えることになる。

まぁ~こんな風に夢から始まった調べ物だけど、今改めて考えてみると年寄りディスカスの激ヤセやタイワンキンギョ&スパイクテールの大量死、その他原因不明の突然死なども、死亡直後にもっと細かくチェックすれば何か違っていたのかも知れない。先日もバイランティが1匹、突然死んで、その死があまりにも理屈に合わないので嫁が解剖して内臓を見た時に「???」って思った病巣らしきものを見つけたのだけど、その病巣をそれ以上チェックすることもせず廃棄してしまった。魚を長く飼ってて沢山の死を見てきてかなり傲慢になってたのかな~!? だからこんな夢を見たんでしょうね~たぶん。・・・自分を戒めるために。

また話が脱線しちゃって戻すのが大変そうだし、まだ抗酸菌の詳しい情報&治療について頭の中でまとまっていないので、続きはまた次回・・・ってことで。
To be continued

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241.エルバージュ [魚の病気]

有効成分:ニフルスチレン酸Na、効能:エロモナス感染症(穴あき病・立鱗病・スレ症)・カラムナリス病(鰓腐れ、尾腐れ、口腐れ)、用法用量:水100L辺り5~10gで4時間の薬浴/1~2gで24時間の薬浴、販売:日本動物薬品工業。

熱帯魚(特にディスカス)を飼っている人なら必ず1度はこの薬のお世話になったことがあるのではないでしょうか!? 魚病薬の超定番商品「エルバージュ」。もちろん我が家でも使っています。
・・・というより常備してあります。こんな有名なエルバージュですが、この薬の詳細についてあまり理解されないまま使われることも多いと思うので、今日はこの「エルバ」についての自分の知ってる範囲内で解説させて頂こうかと・・・。(^_-)
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・・・ってことで、勝手に進めて参ります! まず、この薬の有効成分「ニフルスチレン酸ナトリウム」について! ニフルスチレン酸ナトリウムとはニトロフラン基をもつ合成抗菌剤(ニトロフラン系抗生物質)の1つで、一般的にフラン剤と呼ばれています。またこれと同じ効能を持つフラン剤としてはニトロフラゾン(グリーンF、グリーンFゴールド、サンエース)も有名です。肝心のフラン剤の主な作用としては細菌の脱水素酵素を阻害したり、電子伝達系を阻害したり、細菌の核酸や蛋白質の合成を阻害することで原因菌にダメージを与え症状を緩和させると考えられています。

では上であげた4つのフラン剤のどれが一番効くのか!?・・・って話ですが、個人的な意見として、同じフラン剤なので「どれでも同じ」だと思います。 しかし、これは原因菌が特定出来ている場合の話で、病原菌が特定出来ない場合または小型水槽での薬浴や小型魚、薬品に弱い魚を治療する場合にはサルファ剤も同時に配合されているグリーンFゴールドやサンエース方が効くと思います。(グラム陰性菌にはフラン剤、グラム陽性菌にはサルファ剤が有効なので)

我が家でグリーンFゴールドではなくエルバを常備するのはただ単にコスト的に考えてエルバの方が断然安いし、フラン剤を投薬するのはほとんどディスカスだから! 水槽飼育でディスカスがもっともかかりやすい細菌性の病気と言えばカラムナリスによるエラ病ですからね~ それだけならエルバ(フラン剤だけ)で十分だから。(^_-)

次にエルバの用法用量ですが、一般的にフラン剤は魚体への吸収率が非常に高くて効果が強いので本来ならパッケージの取説にあるように高濃度短時間浴で十分に効果を発揮します。ただこれは体力があり、もともと薬剤に強いコイなどに言えることで、我々が飼っている小さくて美しい熱帯魚には高濃度短時間浴はかなり過酷。 なので24時間浴の分量で数日間薬浴するのが無難だと思います。 基本的に24時間浴の分量で3日間を1つの目安とし、薬効が落ちてくる3日後に半分くらい水換えをし、薬浴を続行するなら入れ替えた分の薬剤を入れるのがベストだと思います。ただ、治らないからと言って、2週間も3週間も連用すると必ずといってよいほど肝機能に障害が出て治るどころか肝機能障害で死んでしまいますので1週間薬浴して効果がなければ最低でも3日、出来れば1週間ほど通常飼育、または塩水浴で様子を見た方がいいと思います。

薬浴中の注意としては光に当てないこと! 光に当てると(太陽光の下では)薬効成分が日光で分解され、1日も経たない間に効果がなくなってしまいます。また、薬剤を水槽に投入すると抗菌成分により濾過槽のバクテリアが死んでいきますので数時間後には白く濁り始める場合があります。 こうなると薬浴中の濾過はあまり期待できませんので餌やりは中止します。「病気だから美味しいものを食べされて体力を回復させなきゃ!」なんて人間と同じように考えるのは禁物。病気で胃腸が弱って食欲も消化能力も落ちている上に残餌が数分でも水槽に残れば・・・アンモニアで更に魚を弱らせてしまいますからね。(^_-) 

よくある失敗がこのパターンで「エルバは強いから」とか「魚病薬使うと」って感じで薬で死んだ!
・・・みたいな発言をたまに耳にしますが、基本的に薬剤で魚は死にませんからね。(^_-) それでもどうしても餌をあげたいと言うのなら、赤虫やすぐに飲み込める人工飼料などを少量あげて、数分後(30分以内)にphを調整した水で半分くらい水換えをして換えた量の分だけ再度薬剤を入れるといいと思います。薬浴中の餌やり・・・我が家でも時々やるのですが、これは全体的に魚の調子が悪くて治療を開始したけど、その中の何匹かは回復し餌を欲しがっている。でもまだ調子の悪い仔もいる・・・なんて時にこんな感じで給餌→即水換えで様子を見たりします。

毎度のコトながらダラダラ長くなってしまいましたが、実際に我が家でエルバをどんなタイミングで使うか?ですが・・・。基本的には取説の通りエロモナスやカラムナリスの症状が出たときに使います。ただ、一言で取説のような症状って言っても色々あるのでディスカスの症例をあげてみると・・・。

1.エラの開閉が大きい、早い、片エラ → カラムナリスによるエラ病
2.体表が全体的に粉をふいたようにぼやけてる。 → カラムナリスによる体表粘膜異常分泌
3.HLLEにより穴が開き、その患部が大きく拡大した時 → 二次感染予防
4.大きなスレが出来た。患部から出血している → 二次感染予防
5.腹部が膨張した → エロモナスの可能性を考えて
6.信頼できない店、改良と同水槽でストックされてた個体 → 色々な意味で殺菌

だいたいはこんな感じの時に岩塩0.1~0.5%を同時に入れて様子を見ることにしてます。 特に1.のエラ病に関しては個人的にはエラ吸虫によるエラ病より、カラムナリスによるエラ病の方が発症確率が高く、エラに問題が出た時のほとんどは水質に問題があるか力関係に問題があるか、カラムナリスを患っているかのどれかなので(結局は日和見感染なんでしょうが)約1週間のエルバ浴で事なきを得る・・・ってことが多いので、エラ病が出たら水や力関係の問題がなければ第一の処置としてエルバを投薬するようにしています。今の所、経験上では7割くらいの確率でエルバで治りました。

以上、知ってたら特するかも?エルバ特集でした。(^_-)




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216.腹部膨張症考察 [魚の病気]

アルトナナイがいなくなって1週間経ちましたが・・・。
久しぶりにディスカス水槽が異常なまでに活気付いています。(悪い意味で) やっぱり水槽の中でもかなり存在感のあった魚だったようで、その地位を奪う跡目争いが始まってしまいました。・・・当分の間は苛められっ仔の管理に目が離せなくなってしまいました。(^^ゞ
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残っているディスカスたちの管理は当然注意深く見守らなければいけませんが、アルトナナイの死因となった腹部膨張症についても自分なりにもっと真剣に考えておかないと同じミスを繰り返してしまうので、自分への戒めとして腹部膨張症について考察しておこうと思います。

腹部膨張症・・・水槽飼育下でのディスカス、中大型シクリッド、肉食大型魚では比較的起こる可能性が高い疾病で、その原因はエロモナス(腹水症)説、抗酸菌症説、イリドウイルス説など諸説色々ありますが、ディスカスの腹部膨張症はこれらに該当しない「腸閉塞」ではないかと考察しています。そう考える理由として、他の疾病であれば腹部が膨張する以外にも違った症状がでますし、発症後の経過でもそれぞれの疾病で特徴があるからです。もちろん解剖して病巣と思われる部分の組織検査などを行っていないので断言できないのですが・・・。(^^ゞ

私が考察するように「ディスカスの腹部膨張症=腸閉塞」だと仮定した場合、その原因は主にハンバーグの与えすぎによる脂肪過多が一番の原因ではないかと考えています。ではなぜハンバーグが良くないのか?・・・ですが、それは主原料である牛ハツの脂が魚の消化器官ではすべて消化することが難しいからだと考えています。

肉好きな人はご存知かも知れませんが牛肉の脂を完全に溶かすには約40℃(部位によっては60℃)の熱が必要と言われています。その脂を変温動物である魚が効率よく溶かすのは・・・若干無理のある話ですよね?(どう頑張っても水温の30℃以上は上がりませんし)これが長年蓄積していくと腸管内で脂肪が固まり腸閉塞を起こし、閉塞している部位の細胞が壊死したり、糞が詰まったりしてガスが発生し、お腹が異常に膨らむ・・・っていうのが私の考えです。 また、これまでの飼育経験から、この症状はメス(メスっぽい個体)で食欲旺盛で肉付きの良い仔が発症しやすいのではないかとも考えています。

腹部膨張症の予防としては「ハンバーグを一切与えない!」っ言うのが適切な答えなのでしょうが、栄養価の面でも管理の面でも現代のディスカス飼育でハンバーグは手放せないアイテムですので量や頻度を減らし個々の脂肪のつき方を見ながら計算して与えるのがベストだと思います。その見極めを誤ってアルトナナイを死なせた自分が偉そうに言うことではないのですが。(^^ゞ

また、腹部膨張症の治療ですが・・・はっきり言って「ない!」です。腹部膨張症の原因がまだ糞詰まりの段階であればストレスを減らす飼育と高水温で代謝を上げ消化を早めると同時にマグネシウム(ニガリ等)を添加すると改善する可能性がありますが(マグネシウムは糞を軟らかくします)腸管の脂肪が原因である腸閉塞であった場合、その部分をオペで切り取ってしまわないと治りません。(現実問題として開腹するのは不可能な話ですけど)

結局は飼育者の餌の管理が全てだと思いますので元気で権力のある脂の乗り切ったプリプリとしたメス個体がいる水槽では注意が必要だと思います。現在のウチの水槽で言えばテフェのキャンディあたりが今一番注意が必要かな!? こういう個体は我先に餌に食らいつくので、ハンバーグを与える直前に赤虫や何かで多少お腹を膨らせておき、食欲が落ちた頃を見計らってハンバーグを投入!って感じでこれからは飼っていこうかなぁ~なんて思ってます。


=追伸= 前回、そして今回の記事で「アルトナナイの腹部膨張症の原因はハンバーグである!」・・・みたいな感じで書きましたが、ハンバーグが危険でダメな餌だとは思っていません。反対になくてはならない餌の1つだと思っています。前回の記事を書いた後、励ましのコメントやメールを沢山頂きましたが、その中で「ウチもハンバーグを与えるようになってから調子が悪い」または「アルトナナイのように昨日まで元気だったのに急に死んだ」などという情報を頂きましたが、通常、細菌性の疾病にしても寄生虫症にしても、今回の腹部膨張症にしても・・・ディスカスという魚は調子を崩して1日2日で簡単に死ぬような魚ではありません。稚魚や事故(脳挫傷や内臓破裂など)ならともかくとして・・・。ディスカスが調子を崩して24時間以内に死亡した場合のほとんどは還元反応やアンモニアの急激な上昇など水質悪化である可能性が最も高いと考えられますのでその辺はハンバーグの責任にしないようにして欲しいと思います。私の誤解を招く言葉でハンバーグ製造業者や小売店にご迷惑をかけてはいけませんので最後にこれだけは特記しておきたいと思います。

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214.引き出しにない症例 [魚の病気]

ありゃりゃ~・・・またアルトナナイが何かおかしいよ~(@_@;)
先週の土曜日の朝、いつものようにピンセットで赤虫をあげていると、真っ先に飛び掛ってくるはずのアルトナナイが餌に寄ってこない。 水槽の端で少し俯きぎみに鰓を早く開閉させ呼吸が苦しそう。 他の仔を見ても特に変わった様子もないので水質ではなさそうだけど・・・。 とりあえず半分くらい水を換え、塩を入れて照明を消して1日様子をみてみたけど、翌日にも改善する気配なし。
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Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM
焦点距離:60mm 露出モード:マニュアル(M) 絞り:F2.8
1/25sec 露出補正±0 WB:オリジナル設定 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし PG-Ⅱ マニュアルフォーカス 三脚なし

改善の兆しが全くないので、水槽にへばり付いてひと通りチェックしてみたけど、特に気になる箇所は見当たらない。 チェックした項目はこちら↓

●鰓からの分泌物なし・・・細菌性、寄生虫性鰓病のチェック。
●腹部の腫れなし・・・消化不良、便秘、腸管内寄生虫のチェック。
●外観的異常なし・・・スレ、細菌性体表疾病のチェック。
●その他外的要因・・・イジメ、水流、光、レイアウト的ストレスのチェック。

通常、何らかの疾病があれば、これらのチェックで原因と対策がある程度分るのだけど、今回はディスカスを飼ってきてはじめての経験!?・・・かも知れない原因不明の不調。 やっぱり生き物ってパターン化できませんね~。 毎回、一定のパターンで発症し、それに応じた治療をすれば事故以外であればほとんど解決するのに・・・。

こんな感じなので、何もしないで様子を見たところで解決できないような気がしたので、鰓ケアとお腹のケアを兼ねてプラジカンテル+フラジール+エルバージュの三種混合浴と塩100g/100L+水温を32℃設定にして2日間様子をみたが、どうも改善の見込みはなさそう。 もしかしたら病気ではなくって頭でも打った? だとしたら何をしても改善しないけど・・・。
おまけ
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Lens:EF-S60mm F2.8 Macro USM
焦点距離:60mm 露出モード:マニュアル(M) 絞り:F2.8
1/15sec 露出補正±0 WB:オリジナル設定 感度:400 画像モード:JPEG
照明:フラッシュなし PG-Ⅱ マニュアルフォーカス 三脚なし

アルトナナイの不調をよそ目にテフェのキャンディは元気いっぱい。 今シーズンの写真課題「闇から浮かび上がるディスカス」っぽい感じで撮れたので載せてみました。 でもイメージ的にはこんな写真でもないんだなぁ~・・・難しい。(ーー;)
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