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257.Autumn rain syndrome [魚の病気]

最近、リンクさせてもらっている方やその他いろいろな所で「ディスカスが不調」という文字をよく見かけていましたが、実はウチも何となく調子がよくないので、薬浴をしていました。今はとりあえず落ち着きましたが、今年はどこのお宅でもディスカスの調子が思わしくないみたいですね~
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今までディスカスを飼っていて感じるのは「梅雨~秋の約4ヶ月間は難しい」特に異常気象だった今年はなお更ですね。以前記事にした「105.Rainy season syndrome」でも「これが原因ではないか?」みたいなことを書いたのですが、今回は「Autumn rain syndrome」と題してこの時期に発病しやすい病気の原因と対策について考察してみました。

Autumn rain syndrome・・・苦し紛れに英文でつけたタイトルですが、直訳で「秋雨症候群」ということでお願いします。(^^ゞ Autumn rain syndrome 略して「ARS」はRainy season syndromeと同じように気候が不安定な時期に発症する色々な病気なのですが、我が家でも、他のお宅でも発症しているのは2パターンではないでしょうか!?エラの不調と体表の何らかの異常。

まずはじめに治療法を書くとすれば・・・。
 =Step1=
何らかの不調を感じた時点で「塩(100g/100L)+竹酢液(5ml/100L)+HB-101(10滴/100L)」で数日間様子を見る。改善傾向にあればそのままで。
 =Step2=
改善の兆候がなければ「エルバ(適量)+塩(100g/100L)での薬浴」。エルバの効能が3~5日間有効なので、3日ないし5日で半分換水して換水分のエルバを再度投入。これを10日程度。
 =Step3=
別に3番目の選択肢ってわけではないのだけど、エラの不調の原因が吸虫ではないか?っと感じられたならば「エルバ+塩+プラジカンテル」。プラジを常備している方はStep1から2を飛ばして3の方が手っ取り早いと思います。・・・って言うのが我が家の治療法です。
次に特徴的な症状ですが、体表にポツポツとオデキのようなものが出たり、体表の一部または全体に粘膜の異常分泌が見られたり、毛羽立ったようになったり、またエラの開閉が早かったり片エラ呼吸だったり・・・って言うのが多いのではないでしょうか!? そして通常の病気と違って餌を食べなくなるってことはあまりないように思います。患っていても食欲はあります。
このように一見するとカラムナリスによる肌荒れ、同じくカラムナリスによる細菌性エラ病、エラ吸虫症などを疑ってしまうのですが、私が見たところ、確かにその可能性は高いかも知れませんが、ARSはこの時期特有の少し違った原因があるのではないかと考えています。

雑誌や専門書を見ていると、何らかの病気を発病した場合、なぜか「この病気だ!」っとカテゴリーを決め付けて説明しているものをよく見かけます。しかし学術論文などでは「これも疑わしい、あれも疑わしい」と細菌やウイルス、寄生虫に真菌まで色々疑って考察しているものも多く、実際に患部(病巣)のDNAを解析したらカラムナリスだと診断していたのにカラムナリスと同じ常在菌のSerratiaやAcinetobacter、またはそれら数種の複合感染だった・・・っというもの良くある話のようです。

つまり、安定した湿度や気圧、水質下で発病したものであれば専門誌等であるようなカテゴリーにきっちりと合った病気である場合が多いのですが、ARSの場合、水質などが引き金となって発症するのではなく、湿度や気温差、落下細菌が大きく影響しているのではないかと考えているのです。
その根拠として、この時期に水槽の手入れをしていると、いつも以上にガラス蓋にヌメリがついていたり、蓋と蓋が重なりあっている部分に悪臭がする。(ムレた足のような臭い)また水槽周りにカビが多くなったりと水の中以上に水槽周りに何らかの異変が多いことがあります。 このように、この時期に発症した肌荒れやエラの不調に関しては、無理に「この病気だ!」っと断定せずに細菌、真菌、寄生虫など全てを疑い、リスクの少ない治療法から実行していくのがベストだと思っています。

そういった意味で私はエルバージュを第一の薬剤として使用しています。カラムナリスにしろ、エロモナスにしろ、セラチア、サイクロバクター、アシネトバクターetc・・・にしろ、常在菌でディスカスの健康を脅かす細菌のほとんどはグラム陰性菌です。そしてグラム陰性菌の特効薬はフラン剤。つまりエルバやグリーンFゴールドが第一の選択肢にあげられるわけですが、エルバは単純にフラン剤のみ。一方グリーンFゴールドはより幅広い治療効果を得るためにサルファ剤も含まれています。

ここでお気づきですよね!?(^_-) サルファ剤=グラム陽性菌に効く・・・つまりはグラム陽性菌である濾過バクテリアまでも弱らす=生物濾過崩壊!そして治りが悪くなる。こういった理由から我が家では全く読めない(想像につかない)症状の時以外グリーンFゴールドを使わないようにしてます。

ちなみに、上で紹介した治療法では、細菌類(グラム陰性の)に関しては抗菌剤のフラン剤、エラ吸虫に関してはプラジカンテル、体表寄生の原虫に関しては塩という風にそれぞれの原因に適した処方になっています。 だた、カビに関しての処方はないので、必要に応じてメチレンブルーなど加えてもいいかも知れませんね。

コメント(8) 
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コメント 8

さかい

たかあきさん、

こんばんわ。
もう少し前に、この文面読んで治療していれば....と思いました(゜-Å)。

似たような、症状ですね。
鱗も少し剥がれてるような、毛羽立つ、すごく似てます。
何かの複数の感染症って感じもしました。
この時期に、多そうですね。
実は、ビッダーズに出品されてたどなたかのディスカスの水槽に映ってたディスカスにも感染みたいな箇所みつけ、多いのかなと思ってました(^_^;)。

うちは本水槽、グリーンFゴールドで。改良種はエルバとフラジール使用でした。

エルバのほうが安全でした...(゜-Å) 。
言葉になりません。
たかあきさんならお分かりになっていただけると思います。ダメな飼い主です。
by さかい (2009-09-09 22:45) 

たかあき

さかいさん

この時期はどうしても何らかの不具合が出たりしますよね~!? 理由も飼い主が手を抜いたってわけでもなく、またはっきりとしたものも見えてこない。でも、それでも何らかの感染がおきていることは事実で、それに対応しなければいけない。 
本文には書いてませんが、ここだけの話、無加温で夜間27℃、日中30℃くらいって時が細菌類の繁殖には適しているように思います。もちろん湿度も大きく影響してると思いますが。
その条件下では人間の腸の中の善玉菌、悪玉菌の話じゃないけど、浄化を助けるバクテリアより病気の元になる悪玉の方がふえてしまうのかも知れない・・・などと考えていて、いつも梅雨と秋の季節の変わり目には(変わる前に)何も症状がなくてもエルバを処方していました。 だた今年は気温の下がり方が例年の比ではなく急激だったので、若干発病させてしまいましたが・・・。

イナヌ君の件・・・拝見してましたが、私も同様に少し前にジャプラを逝かせてしまい、いまだにその後悔と無念さから立ち直っていませんし、傷をなめ合うってわけでもありませんが、師匠(阿波さんblogで拝見したコメントから)がおっしゃるように切り替えて残ってる仔たちを彼の分まで長生きさせなきゃって思ってます。
by たかあき (2009-09-10 00:40) 

ヨウC

こんにちは。
先日はブログの件から治療まで色々とアドバイス頂きありがとう
ございました。

このARSについてもそうですが、たかあきさんの知識はもちろん
なのですが、文章構成そして説明の分かりやすさにいつも尊敬
してしまいます。読んでいてとても理解がしやすいです(^_^)

”湿度や気温差、落下細菌が大きく影響しているのではないか”

このARSを読んでまさに水作りは飼育部屋の環境作りからはじ
まるんだなとかんじました。

エアコンや空気清浄機等による空調管理(湿度、室温、浮遊
雑菌の減滅)ということについても今後意識してみようかと思い
ます。

ただ空気清浄機が先月壊れちゃったのでまずは買うところから
はじめないと(笑)

by ヨウC (2009-09-10 09:24) 

たかあき

ヨウCさん

その後上手く回復してますか!?(^_-) それにしてもプラジの即効性には
「凄い!」の一言ですよね~ 濾過も崩壊させないし、治りが早いし!!

私の文章・・・回りくどくてダラダラ長くて、いつも嫁に「ウザい!」「読む気にならん」
などと言われていますが、ヨウCさんのように読んでくれる人もいると嬉しいです。

あくまでも個人的な考えでしかありませんが、他の魚に比べて変化に敏感な
ディスカスは気候の安定しない季節はどうしても調子が悪くなりますよね~
決して弱い魚ではないのですが、弱いですよね~変化には・・・。

空調管理・・・。気圧以外はある程度コントロールできるので、効果はあるかも
知れませんね!? 落下細菌等をクリアーすればオープンにして飼った方が
なぜか元気だったりすることもありますからね~
フタから落ちる水滴も考えようによってはばい菌だらけですから!

でも、空調よりUV殺菌灯の方が水槽に限って言えば効果は高くてコストも低いかも!?
8000時間程度で球の交換が必要でランニングコストもかかりますが、それでも
ディスカスの調子を年中維持するのにはベストかも知れません。

ただ、これも個人的な意見として、一度使ってしまうと、免疫の弱い魚になって
しまいそうで・・・。 以前、ブリードや稚魚の育成の時には使っていましたが、
里子に出した仔たちの生存率が低かったり、知らない間に球が切れた時の
落ち込みがひどくて・・・。 この辺さえ理解していればいいアイテムなんですがね~
by たかあき (2009-09-10 17:15) 

ヨウC

その後の経過としてはおかげさまで順調に回復しています。
それまでは食べる量が少なかったハンバーグも食べるようになりましたし、何より体色が改善した点が見ていてうれしいですね(^_^)
プラジの効きめにはホント驚きました。

殺菌灯、実は使っているのですがこの時期の複合的な雑菌の繁殖等には効果が追い付かなかったようです(^_^;)
気候の安定しない季節・・・なかなか強敵ですね(~_~;)

色々と経験、また教えて頂きながらこの時期をうまく乗り切る方法を探っていけたらなと思います(^_^)


by ヨウC (2009-09-11 10:24) 

たかあき

ヨウCさん

昨日、ヨウCさんのblogを拝見して上手く行ったんだなぁ~って思ってました。
良かったですね~ プラジはやっぱり素晴らしいですよね(^_-)
ある程度常備しておくと便利ですよね~

殺菌等・・・お使いでしたか!? それでもやっぱり出るんですね~症状が。
この気候の不安定な時期は殺菌等でも効果が落ちるんですね~!?
恐るべし!・・・ですね。

こちらこそ、また色々と情報共有してくださいね。(^_-)
by たかあき (2009-09-11 12:42) 

dora

こんばんわ。

今回も熟読しました!!

家の調子の悪さは自分の手抜きなんで…
全然、違いますケド僕は薬とか魚の症状が詳しくわからないし、全然病名なんか決められません… (^_^;)

なので、薬を入れないとマズイかな!?なんて思うと必ずエルバでした
結果的に回復してくれてたので正解だった!?と思ってたんですが、今回の記事でわかった事が沢山ありました。


あっ たかあきさん!!

ニューギニアだけどダトニオ挑戦し初めました(^・∀・^)
by dora (2009-09-11 19:01) 

たかあき

doraさん

熟読していただけましたかー 
相変わらず大したことは書いてませんが(^^ゞ

症状や病名に左右されず調子が良いか悪いか、そして薬剤が必要か
そうでないかだけ直感で分かればそれでいいんだと思いますよ~
ってか、詳しく知れば知るほど余計な情報で惑わされたりして、投薬を
躊躇したりするから、やっぱり直感が大事だと思います。

ディスカスに限って言えば、調子が悪い→薬浴が必要→エルバ。
これが一番失敗が少ないと思います。本文中にも書いたように、他の薬剤と
比べて濾過細菌への負担が少ない上に効き目はバツグンですからね~
ただ、これもあまり使いすぎると発がん性物質でもあるので、その辺は
注意が必要かと思いますけど。

ニューギニアはじめたんですね!?
本ダトに比べたら評価が落ちるっていう人もいるけど、ニューギニアは他の
ダトニオにはない素晴らしい魅力がある魚なので面白いと思いますよ~
ただ若干ですが、他のダトニオより大きくなるのが遅い点や調子を崩したり
病気になりやすい点もあるので、気難しいと言える魚です。
この魚は他のダトニオとは若干水質も異なるので、純淡水で飼えるけど
何か調子を崩した時には塩分濃度を上げてやると治りも早いですよ。
by たかあき (2009-09-11 22:57) 

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