105.Rainy season syndrome [魚の病気]
photo: EOS+60mmMacro ISO:400 SS:1/50sec F2.8
Rainy season syndromeは1つの原因ではなく、色々な要因が重なって調子を崩すと考察しています。 まず第一に考えられるのが水道水が不安定なるから。 梅雨時は豪雨で山や陸地が削られることによって大量の土砂が河川に流れ込み水は茶色く濁ります。 その濁った水の中には土中の細菌や色々な物質が混ざりとても汚れた水になります。 その汚れた水は浄水場で処理されるわけですが、この時期は河川の水が悪い上、水道使用量も多いので素早く処理するために消毒用の塩素濃度を限界値まで引き上げられます。この処理によって供給される水は当然、残留塩素が高くなり、魚の呼吸障害や肌荒れを引き起こします。例えカルキ抜きなどのコンディショナーを使って処理したとしても、それは十分ではなく、多く入れれば飼育水に中和成分が過剰に蓄積することになるので不純物の多い水になってしまい魚にストレスを与えます。 もちろん浄水器などを使ってる家では問題のないレベルまで塩素は除去されますが、山や陸地の土砂が削られ、流されてきた泥水には重金属やミネラルが通常以上に含まれているためph値や硬度が毎回微妙に(場合によっては大きく)変動しますので、この変もデリケートな魚には大きなストレスとなります。
次に考えられる要因は水槽周りの雑菌。 ジメジメした梅雨は雑菌が増殖しやすい季節でもあります。特にエロモナスやカラムナリスなど魚に害をもたらす雑菌が異常繁殖します。 中でもこの時期の水道水のphや気温(水温)から考えると水槽内で一番発生しやすいのがカラムナリス菌です。この菌は年中水槽内にいる常在菌ではありますが、梅雨のジメジメに乗じて爆発的に増殖して魚に襲い掛かります。 ディスカスの場合、まずエラにダメージを与え、肌荒れを引き起こし、鰭をとかし・・・。
常在菌は通常、その量が一定量で免疫が機能している時には大きな問題はありませんが、上でも触れたように水質に変動がありストレスのある状態であれば容易く感染します。 他にもストレスによる免疫低下は腸内細菌にも悪影響を及ぼし、食欲不振や白糞、ヘキサミタ症なども併発することがあり、こうなればカラムナリスにヘキサミタ症のダブルパンチ。その上、エラ吸虫にも最適な水温なのでトリプルパンチになる可能性が非常に高くなります。こうなってしまったら手の施しようがない。
最近、いろいろな方のBlogを拝見してると白糞が出たり、食欲がなくなって・・・って記事をよく目にしますが、おそらくこれは上のように色々なものが併発した「Rainy season syndrome」だと思います。対策としては、無菌室でROを使い完全な純水を作った後、必要なミネラルを添加して殺菌灯を常にフルパワーで稼動しておけば大丈夫でしょう。
・・・ってそんなこと無理ですよね!?(^^ゞ
それにそこまでする必要ないと思いますしね。 肝心なのは予防と素早い対処だと思います。 何か調子が悪いと思ったら即行動! これが全てだと思います。
例えば、我が家で行っているのは、エルバージュとプラジカンテルによる二種混合薬浴。 2週間くらい前から、エラの開閉が比較的いつもより早い仔がいたので、数日水換えや水質の微調整で様子を見ましたが、病気と言うほど調子は悪くないし、特に何かの病気の特徴的な動きもない。 でも何かいつもと違う。 こうなればRainy season syndromeです。
今年初めてエルバとプラジの二種混合を試してみましたが、2つの薬品を混ぜても変性や毒性は特になさそうだし、カラムナリスとエラ吸虫、条虫、スレ、細菌性疾病など、この両薬でほぼ全て治療&予防できるし「一度で二度効く」的な感覚でやってみました。 結果、3日でエラの開閉異常は治まり、若干黒化していた個体も元の色に戻ってきました。
最後に・・・。
飼育者の中には「薬品は使わない!」「自然治癒で!」「バクテリアが弱る!」などと言う方も結構いると思います。 もちろん乱用や長期連用はよくないけど、必要な時には適量の治療薬を使うのがベストだと私は思っています。 バクテリアを気にするあまり、処置がおくれると再起不能の状態になる場合もありますし、バクテリアを飼っているのではなく、魚の飼育なのだから、死んでしまったら元も子もない。 また、薬品を薄めに使うと言う意見もよく聞きますが、ナマズや古代魚など薬品に弱い魚の場合はともかく、ディスカスなどスズキ目の魚は薬品に強く、薬で死ぬことはほとんどありません。 また、薄めに使うと当然効果が弱いので、細菌が確実に死ぬことなく耐性菌となって強い菌になり魚を苦しめます。 特にパラザン(オキソリン酸)は耐性菌を作りやすい抗生物質として有名なので、使用、連用はとても危険です。 このような理由から「菌を殺す時には確実に仕留める!」っていうのが重要なので薬品は必ず適量で使うことをオススメします。
以上、 Web版C'ZONEの時(6~7年前)にメールマガジンで書いた記事を復元してみました! (多少修正追記したけど。) 長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。(^_-)
大変、勉強になりました。
実は、たかあきさんを見習ってカポさんから頂いた薬を投与した後に
友人NAOKIから魚が死に掛けていると半べそ状態で電話がありました。
それを聞いて30分後にカポさんと僕はNAOKI宅に到着し確認したところ
昨夜、食したハンバーグや赤虫が原型のまま口から吐く姿が
目に飛び込んできました。二人とも唖然でした。
それに、体にストライプ状に色が抜けてる
(これはバーチカルラインとは別です)ホントに水槽から異臭も放って
ましたし何とも耐え難い状態でした。同じディスカスを飼う仲間として
何とかしてやりたいと全水換え・吐いた物を回収・温度35℃設定
ろ過装置停止・塩を500グラム投下とやれることをやって4時間後
何とか僕が着いた時点からは一匹も死ぬ事なく今は一命を
取り留めています。帰宅してからスグにこのコメントを書いてますが
ホントいい事した後は気分がイイですね。すいません長文になって。
by akisono-happyhappy (2007-06-24 00:29)
akisonoさん
それは大変でしたね。
基本的に薬浴前、薬浴中はよっぽど水の管理に自信がない限り絶食です。
特にハンバーグはダメ!
薬浴で水質が不安定になる上、餌を与えるとアンモニア濃度が
いっきに上がり危険ですよ。
それと吐き戻しのある個体に35度設定も危険。(生存限界ギリギリです)
アンモニアショックにより血中酸素量が下がるので正常に機能していない
エラにはダメージが大きいことがあります。
場合によっては呼吸不全で死にます。
こういった場合は水換えと強めのエアレーションと塩。
水温も30度までにとどめておくほうが無難かも???
まぁ~今回は死ぬことがなくてよかったですね~(^_-)
あぁ! 濾過も再開しないとアンモニアがまた上がっちゃうかも!?
活性炭があれば入れておけばよいかも。
by たかあき (2007-06-24 01:17)
ありがとうございます。
今、本人に電話して温度の設定を変更とエアレーションUPさせました。
実は、僕が到着する前に5匹死んでました。
たかあきさんに聞けば良かったです(^^;
なんでこんな症状になったんでしょうか?
病気?でしょうか?原因が未だ分からないんですが・・・
by akisono-happyhappy (2007-06-24 01:32)
これは病気ではなく、急激な水質悪化ですね。(^^)
水量の少ない水槽で薬品を入れるとバクテリアが急激に弱り
その時に餌(とくにハンバーグ)などを入れると、アンモニア濃度が上がりだして
3~5時間でアンモニア濃度が致死量まであがります。
投薬時にこういったケースが多く、俺も1度全部横たわって「虫の息」状態に
したことがありました。
その時の原因やデータを検討すれば、アンモニアの急上昇しか疑わしい
点がないので、おそらくこれでしょう。
90cm以下の水槽であれば、投薬前、投薬中は餌を止めるのはベストですね。
そして水の濁りや魚の動きが変であれば、即水換えをし、再度抜き出した量の
薬を入れなおすと良いですよ
by たかあき (2007-06-24 09:49)
これからの時期は大変ですね~って事を勉強させて頂きました。
先日白糞でたのでフラジールで薬浴したのですが・・・
この後も梅雨の雑菌対策はした方がいいんでしょうかね~?
もし必要であれば、早めに対処したいんですが・・・。
by グータン (2007-06-24 10:48)
いつも、有益な情報をありがとうございます。
今回も、凄く勉強になりました。
どなたかが、飼育者は魚の医者だと言われてましたが、
本当にそう思います。
今の時期もそうですが、1年を通して気をつけなければ
いけない事が沢山ありそうですね。
写真ですが、右端の子のスポット凄いですねー!
すぐ左隣の2匹が、全く違う表現なので、さらに目を惹かれます(^0^)
by (2007-06-24 12:58)
グータンさん
特にこの季節はダメですね~
熱帯魚屋さんでも水槽の底で白くなってる魚が沢山いるし
購入も飼育も一番難しいですね。梅雨は!
この時期の特徴は完全な発症をしないこと!だから発見も
治療も難しい。
完全な病気なら対策もあるのだけど、「何となく調子が悪い!」
ってのが一番厄介。
だから早めの対処と予防ですね。
motoさん
飼育者は保護者でもあり、医者でもあり・・・・・。
魚をみれる獣医師もほとんどいないし、例え見てもらえたとしても
動物ほど体力のない魚では通院も治療も難しいですしね~
それに・・・・・魚を的確に診察できる獣医師なんていないかも!?
身近に獣医師がいるので、その辺は誰より分かってるかも!?(^_^;)
右のスポットの仔、飼い始めた時はフルスポットになると思ってたけど
残り1/5って時に止まってしまいました。
もうお年だし、このままかな!?(^^ゞ
真ん中の小さいのが超スーパーノーマルなので、その違いが目につきますね。
by たかあき (2007-06-24 13:27)
たかあきさん
返事が遅れてすいません。
回答ありがとうございます。
今、サンセンから帰って来ました。
たかあきさん&サンセンさん
のコメントでとてもいい勉強をさせて頂きました。
これからも宜しくお願いします。
by akisono-happyhappy (2007-06-24 21:48)
こんばんは!
「細菌が確実に死ぬことなく耐性菌となって強い菌になり魚を苦しめます」
これは・・・またひとつお利口さんになりました(^^ゞ
なるほど....適量で確実に菌を仕留める
予防と思って薄めに入れるのも考えものですね
頭の中へINPUTしておきます^^
by dai8682 (2007-06-25 21:59)
daiさん
薬浴は適量でやるのは大切ですよ~
特にパラザンはね!(^_-)
・・・ってか、適量で使ったとしても、パラザンは耐性菌が出来やすいから
薬の在庫がないときやよっぽどのことがない限り使いませんけどね。(^^ゞ
ディスカスの場合、通常の治療や予防ではエルバを規定量かそれ以上の
濃度です。グリーンFゴールドは高いしエルバが効かない時のために
使わないようにしてます。
ディスカス飼育はエルバと塩・・・って昔から言われてるけど、その通りかも!?
ウチの場合、それに加えて「プラジ」ですけど。
by たかあき (2007-06-25 22:42)
『バクテリアを飼っているのではなく、魚の飼育なのだから、死んでしまったら元も子もない。』
↑その通りだと思います。
閉鎖された水槽の中で
見えない有害菌、寄生虫の増減ととに
魚も健康を左右されるわけですから
異常な菌の増殖、水質悪化にともなう寄生虫への抵抗力低下時には
薬を有効に使う事が何よりも大事であると私も思っております。
たかあきさんの仰る通り
梅雨時期は水が不安定ですよね~
ウチも半数の水槽が今ひとつ系の不調になってしまいましたが・・・
現在、回復基調になってきたのですが
本当にこういう時って憂鬱になりますよね~。
by タケオ@CiaoCiao (2007-06-26 11:12)
タケオさん
不安定ですよね~ この時期。 みんな一緒ですね。
バクテリアに意識しすぎて薬品でのリセットを遅らせる人も多いけど
この時期は悪い菌も増殖する時期だけど、逆を返せば良い菌も繁殖しやすい。
だから今、悪い芽を摘んでおくことも大事ではないかと思っています。
ウチも昨日まで色々な薬剤でトリートメントしてましたが、症状が落ち着いた
ので、今日から本格的な観賞飼育に戻しています。
これで何とか梅雨は乗り切れそうです。
by たかあき (2007-06-26 11:22)
この時期はホント不安定になりますね~我が家では今年初めに立ち上げた水槽以外はイマイチ調子よくなくて、憂鬱な日々を過ごしてます…。薬によるリセットはどうしても魚に負担かかるような気がして行なわないのですが、フィルターメンテをこの時期になると冬場よりペース早めるので結局は魚に負担かけてるのかもしれませんね(^_^;)水不足になるのは困りますが一日も早く水道水が安定して欲しいと身勝手に思う季節でもあります(^-^)
by たく☆ (2007-06-27 01:02)
たく☆さん
立ち上げ後時間の経った水槽には何か悪玉菌が増えるのですかね?
新しい水槽のときは順調だったのに、2年3年と経つと原因不明の
体調不良とかありますもんね!?
その上、この時期は水も不安定だから、そんなものが一気に爆発したり
なんか怖いですよね~
早く安定してほしいですよね!? 水道水。
by たかあき (2007-06-27 09:45)